ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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(こつりと当たる相手の手。ハッとしてそちらへ目線をやると、風に流れて聞こえてきた小さな小さな声にとくりと胸高鳴らせる。聞き間違いじゃないかと一瞬頭に過ぎるも、何かを言おうと口を開いたところで少しばかり強引に手首掴まれては直ぐにその考えが杞憂だとわかって。相手の速度に置いて行かれぬようにと彼の一歩程後ろを半ば引き摺られるような形ながら慌てて追いかける。辿り着いた砂浜。踏みしめればその砂はぎゅっと音を立てて沈み、僅かに足を取られそうになる。覚束無い足元に目線をやっていれば、前に居る親友から感嘆の声が聞こえてきて。続け様に背を叩かれては「ちょ、痛いって…!」なんて唇を尖らせるも、促されるがままに海の方へと顔を向ける)
……――…綺麗。
(鮮やかに燃え盛り滲む橙色は目に痛い程に輝いていて。けれども目はそらせない。感動のあまりぽかんと開いた口からは、自ずと感嘆の言葉がぽろり。緩慢な手付きながらカメラを構えては、先ずは立ったまま、次に寝転ぶような体勢でシャッターを切って。砂が付こうが構わないらしい。満足のいくものが撮れたのか嬉しげな微笑みを浮かべて立ち上がれば、親友の方を見やって思わずもう一枚。夕焼けに照らされる彼の横顔はとても美しかった。まるで芸術品でも見ているような心地で見蕩れる。ほわほわと夢見気分のまま相手へと近寄っては、片手をそっと、相手の手へと絡ませて)
うん、本当に来て良かった。良い写真が撮れたし……何より、好きな人とこんな綺麗な景色を一緒に見られたんだもん。オレ、すっげー幸せ…!
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