ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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へへっ…うん! 絶対に良いの撮るから楽しみにしててよ?
(自分の言葉に返ってきたああという一言の返事。素っ気ないように見えて、けれども己は知っていた。親友が誰よりも優しいということを。現にその声音は、その表情からは、嬉しげなものが伺えて。写真を撮るポイントを探してくれる相手の姿に、こちらもまた嬉しさが湧き上がってきた。思わず小さく零れる笑いは、そんな感情を如実に暴き出す。構えるふりしたカメラを胸元に持ってきて、僅かに力を強めて握り締めた。ああ、やっぱりノクトの隣は心地いい。今日の資金繰りの時には相手の背中ばかりを見詰めることになってしまったけれど、その距離感が昨夜の熱に浮かれることを防いでくれたし、頭を冷静にもしてくれた。そして、改めて思うのだ。彼が。ノクトが、愛おしい――。そんな風にぼんやりしていたのが悪かったのだろうか。相手がいきなり己に覆い被さってくれば、咄嗟に「え……?」なんてとぼけた声しか出ないくらいには驚いて、そしてまた、別の意味でもどきどきしてしまう。…まさか、こんな所で? 焦りと期待とで心臓が飛び出てしまいそうな程に高鳴る。相手のことを見ていられなくて、慌てて目を瞑る。赤くなった顔がどうか夕焼けで誤魔化せますように、なんて小さなお願い事をして――しかし、相手の謝罪の言葉とすぐ近くから聞こえてきた子供の声に意識がはっきりと現実に戻ってくる。混乱しながら、それでも内心自分に落ち着くよう言い聞かせて状況把握に努める。目の前には親友がいて、その肩越しに女性と男性の姿が見えた。少し視線を下にやれば、その二人の子供と思われる男の子。そこで、漸く今の状況を整理出来た。ああああ嘘でしょ!? オレの勘違いだったよっ、恥ずかしい!! 慌てたように離れてしまった親友の隣へ急いで並び立てば、百面相しながらもちらちら、恐る恐ると相手の顔を伺ったり同じ様に足元へ視線やったりと忙しなく視線を動かし。沈黙が己の恥ずかしさを助長している気がして、何とか口を開いてみる)
もうっ、ノクトのバカ。ちょっとだけ期待しちゃったじゃん! ……あー、でも、勝手に期待したオレの方がバカかも。へへっ、勘違い乙〜って感じ?
(何だかもう自分でも何を口走っているのかわからない。余計に恥ずかしくなった気がして、相手と反対の方向へと顔をそむけては熱くなった顔を潮風で冷やそうとしており)
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