ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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(目の前でいきなり泣かれたのだ、案の定親友からは慌てるような声が聞こえた。しかし、例えこんな時でも、自分の名前を呼んでもらえるだけで嬉しさを感じてしまう。人はここまで人を想うことが出来るのかと自分自身驚いた。――思えば、小学生の頃からずっとノクティスという存在が気に掛かっていたのだ。綺麗な高嶺の花。彼が笑ったらどんなに美しいのだろう。一緒に笑いあえたら、それはどれほど素晴らしいことだろう。ノクティスの友達になりたい。そのためにダイエットをした。コミュニケーション能力だって高めた。そして、努力の甲斐あって高校入学と同時に友達になることが出来たのだ。今まで生きてきた人生の殆どはノクティスという存在で埋め尽くされているように思う。恋心を抱いたのはいつか、それは自分でもわからない。気が付いた時にはもう、ああ、好きだなあ…といった感じで。親友がルナフレーナ様と結婚すると聞いた時は膝から崩れ落ちるのを必死で耐えて。おめでとうなんて一言。精一杯、笑って見せた。胸の痛みを知らんぷりしながら、その時、本気の恋だったことを自覚したのだった)
なんでオレ、泣いてんだろ…。
(ぼろぼろと零れ落ちる涙は何度拭っても止まることを知らず、自分でもまるで理解に苦しむ。視界が涙の膜でゆらゆらと揺れ、親友が何をしているのかもはっきりとは判別出来ずにいて。ただ、近付いてきたのはわかった。後頭部に手が回されると肩をぴくりと震わせるも、引き寄せられるがままに相手の肩口へ。「肩、濡れちゃうのに…」そう言いつつもこちらからは離れられない。離れたくなくて。頭を撫でられる感覚に、知らず張っていた気を緩める。親友は不器用だけど、誰よりも何よりも優しいと思う。何だか温かくて幸せだった。心が満たされると涙は次第に引いてゆき)
ごめんね。……ありがと、ノクト。
(どうか親友にもこの幸せを感じてほしい。その一心で両手を彼の背に回せば、とん、とん。と、片手で背を一定のリズムで撫でてみたり。その間、柔らかく立ち上る親友の匂いを犬の如くすんと嗅げば、泣き腫らした顔でふにゃりと自然な笑顔を零して)
ふふっ。オレね、やっぱりノクトのこと好きー!
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