ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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(目を閉じてしまえばいつ口付けられるのかなど把握出来るはずもなく、ただただ気恥ずかしさと対峙して待ち侘びる。見ることが出来ない代わりに聴覚や触覚などの感覚を研ぎ澄ましてみるも、自身の鼓動がうるさすぎて何とも集中しづらい。目を開いてみるか否か。密かに悩んでいれば突然、唇に熱が触れて。ふに、とした柔らかくて滑らかなそれは相手の唇だろう。小さくリップ音など聞こえてしまえば甘酸っぱい心地に酔いしれてしまうというもの。初めてのキスは思い描いていたよりもずっと些細なことで、けれども…何故だろう。不思議と酷く特別な瞬間のように思えた。この空気を壊したくなくて恐る恐るゆっくりと目を開こうとしたところで、予想もし得ないもう一度の口付けがあり。驚きに目をぱちりと瞬かせては、離れゆく唇を目で追いかけながら思わず自身の唇を指で触れてみたり)
あ……オレも、その…ファーストキスだから。
(俯き気味にぽつりとそんな報告をすれば途端に恥ずかしくもなって。それを誤魔化すように口をもごもごさせては無意識に頬を掻き、ちらりと相手の顔を見遣って)
ねえ、目を瞑ってよ。折角ならオレからもしたい。
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