ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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――…それ、聞いちゃうんだ。
(手と手が重なれば、その熱さに一瞬くらりとしそうになる。触れ合う箇所が少しだけ汗ばんで、けれども不思議と嫌な気持ちにはならない。沈黙の中かけられた声につい目をそらしてしまうと、口に出すのが躊躇われたのか、出来損ないの笑みを浮かべて見せればぽつりと答えにはならない言葉を。…いつものように素直に口にしてしまえば良いのに何故今更躊躇う必要があるのか。自分でもわからなくて、それでも伝えたくて。ぐるぐる回る思考、ぐちゃぐちゃに混ざり合う感情。そこからただ一つを選んで言うとするならば――。心臓は痛いくらいに激しく脈を打っていた。緊張によりからからに渇いた喉は生唾を飲み込むことで何とか潤し、僅かに下唇を噛んでは緩りとまた目線を合わせる。思い切りを付けるべく空いた片手も相手の頬に滑らせると少しばかり腰を浮かせて顔を近付け、ほんの僅か、柔らかく微笑んでみせて)
好き。……ノクトが、好き。
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