甘く、ほろ苦い。 -ひぼ-

俺は掃除が出来ねえんだ。亜葵…だったか、いい返事だ。今日はもう遅いし明日から始めてもらおうとしよう、部屋はここを使いな。
( 突如現れた少女に"家政婦"を頼むのは少し卑怯だったかと思いきや二つ返事で承諾され、ならば任せても問題ないと自信あり気な表情を見せるも掃除ができないことを正直に告げ。リビングの隣にある使っていなかった部屋の扉を開け電気を付け明るくし一応ベッドと机、クローゼットはあるが女の子が使うには殺風景で寂しく「必要なものがあれば何時でも言いな」と相手の肩をポンと叩いて )

やっぱりね。でも、正直に言ってくれて良かったわ！私も思う存分好きな様に掃除とか出来ますしね。─····この部屋使っていいの。ありがとうございます

（正直に告げられる事に納得し首を頷かせ、少々腕を組んで偉そうな口調で上記。空いてる部屋に案内して貰うと立派な部屋を使わせてくれる事に目を輝かせ部屋をどう可愛いくしようか考え、礼儀正しく会釈し口元を緩めてお礼を言い。『今日は色々疲れたから休ませて貰うわね？明日から宜しくですわ。明石さん』朝から動き回って疲れている所為か目を擦り欠伸をしながら名前を呼んで言って）

好きにしてもらって構わないぞ、こちらこそ宜しく。俺の名前知ってるのか…まぁ苗字だけなら表に書いてあるか。
( 丁寧な会釈につられて自分も軽く頭を下げ、名前を呼ばれれば自分のことを知っている人間なのかと不思議に思うが表札は出してあるので当然それを見たのであろうと推測して話しながらリビングのソファに腰を下ろして足を組み、ローテーブルの上に置いてある煙草の箱から一本取り出し唇で挟めばライターで火を点けようとして）

（会釈をし返されると明るい性格上から微笑みを浮かべリビングへ戻る相手を見ては行った事を確認しては『危なかった─···パパの書斎からの情報だったからバレてないかな？』キャリーを拡げ中の荷物を出すと寝巻きに着替え少し温かい物が飲みたくなり扉を開けリビングに入ると煙草を吸う姿を目撃しキッチンの換気扇を付け『 煙草吸うのは勝手ですが、換気扇とか付けないと臭いが籠るじゃ──···注意しに来た理由じゃなく飲み物でしたわ。紅茶とかあります？』思わず反射的に注意をしてしまい口が籠もり話を切り替え棚を開けティーパックを探して）

紅茶？確かあったような気もするが…、どこだったかな。これか？茶葉の箱ならあるぞ。
( ゆっくりと煙を吸い暗い夜空を窓越しに眺めていると相手が出てきて換気扇を付けたことに気づけば「悪いな、今度から気をつける」と返事し、吸い殻を灰皿にトントンと打ち付けて立ち上がりキッチンに向かい。戸棚や引き出しを開け探すも見つけたのは”アールグレイ”と書かれた銀の缶で固い蓋を開け茶葉が入っていることを確認し相手に差し出して )

あら！男性のお家ですと簡単にティーパックだと思いましたが─···いい香りの茶葉ですわ。明石さんも紅茶飲む？温かくした方が良く眠れますわよ？

( 銀色の缶に入った紅茶の茶葉を戸棚から出してくれると中を開け中身を確認すれば薫りは良く笑を浮かべ驚いた声色で呟いてはティーポットやカップを発見し手際良く準備し蒸らしてる合間に首を傾げ訪ねて。『明石さんのお家だから私が仕切るのもアレですから─··一つ欲しい物買って欲しいのですが─』謝れると主でもある相手に少し言い過ぎてしまったのではないかと思いこの家に使える〝空気清浄機〟を思いつき謙虚な態度で首を傾げ聞いてみて。)

それじゃ一杯もらおうか。欲しい物か、何だ？一つと言わずあれこれ言ってくれていいんだぞ。ここはもう俺だけの家じゃないしな。
( 勧められるとそれもいい案だと快く返事をし相手が手際良く淹れるのを見ては引き立つ紅茶の香りに思わず顔が綻び目を細めて。”欲しい物”と言われるとそれが何か気になって即座に聞き返し、まだこの家に来て間もなくお互いのこともよく知らないが相手には遠慮などして欲しくなくつい一緒に住むのだからと思ったことを言葉にするも柄じゃないと恥ずかしくなり、さっと一人先にリビングへ行き )

はい、待ってて下さい。─···私、空気清浄機がこの部屋に欲しいのと部屋のカーテンを明るくしたくって家具とか服とか欲しいの。あと－···

( ティーポットの中に入った紅茶の薫りと色を確認すれば頷きティーカップに注いでから砂糖と温めたミルクカップをトレーに乗せリビングにあるローテーブルに『お好みで入れて下さいね。』一言添え音を立てず置き。何でもと聞くと初対面でもあり少し気を使ったが何かの糸が切れたかのように欲しかった物を指折り数え次々と発しながら相手の隣に座り )

空気清浄機にカーテンね、どっちもいいんじゃねえか？よし！明日は仕事が休みだし、服と家具も一緒に見に行こうか。
( 目の前に置かれるティーカップに「ありがと」と礼を言ってから砂糖を3つ入れミルクを少し注ぎマドラーでかき混ぜながら相手の話を聞くと次から次へと提案されることが面白くこのシンプルな部屋がどう彩られていくのだろうと考え、一口紅茶を飲めば温かくしみ込み砂糖の甘さとアールグレイの香りがマッチし自分で紅茶を淹れたことはないがこんなにも美味しく淹れることができるのだと感心してまた一口とカップを近づけ、明日が休みであることを告げ買い物に誘い )

ホント！ありがとうですの。誰かと買物余りした事ないから楽しみにしてるから、明日早いから今日は寝るわね。おやすみなさい！

（紅茶を飲む仕草に見た目とのギャップで砂糖を入れ甘くしてる姿に意外な発見をした事に何も言わず『くすっ』と笑いニヤニヤと見つめては、明日が休みと告げられ嬉しそうに無意識に相手の服の袖を掴み礼言い。手をぱっと離すと紅茶をゆっくりと黙って飲み干すと立ち上がり素直に述べてから部屋に向かって就寝し。『ん–もう朝。朝ご飯作ろうかな。買物行ってないから大した物今日は出来ないけど─··これがあれば。』目を擦りベッドから起き上がるとそのままワンピースに着替えエプロンを付けキッチンへ行くと冷蔵庫の中に卵と牛乳を見つけ視界に入った食材で手際良くフレンチトーストと目玉焼きとウィンナーを調理し白い皿に野菜と一緒に盛り付けローテーブルに持って行き。相手が起きてない事に気付き扉の前に立ち何回かノックをし『明石さん、朝食の準備できたわよ？起きてますか。』と声を掛け）

朝か、おはよう…。良い朝食が用意されてるようだな、先に顔洗ってこよう。
( 部屋に向かう相手に「おやすみ」と声を掛け見送れば残りを全て飲み干して底に沈殿した砂糖がやけに甘く感じ甘さの後には煙をとベランダで一服してから就寝し。己の部屋の扉が何度かノックされる音で目を覚ますと扉を開けて大きく欠伸をして眠たそうに挨拶を返し鼻に感じる朝食の匂いに眠気が覚め相手に一言言っては洗面所で洗顔を済ませてリビングへ向かい。ローテーブルに用意された朝食が窓から入る陽の光によって輝いているように見え思わず涎が出そうになるが堪えつつソファに座り )

おはよう、明石さん。ある物で作ったから褒めて貰えて嬉しいですわ。珈琲用意して待ってますね

( 部屋から出て来る相手を確認しそのままキッチンに向かっては珈琲の用意をしながら挨拶を返して、ドリップした珈琲の入った珈琲カップをローテーブルへ。『これで準備大丈夫そうね。明石さん来るまでテレビでも見てようかしら。』とリモコンを持ちテレビの電源を入れ)

待たせたな、では頂こうか。＿＿朝は目覚めの珈琲だな。
( 相手の隣に座り手を合わせて挨拶し、昨晩と同じく珈琲にも砂糖を3つと少しミルクを混ぜ一口飲んでそう呟き程良く焼けた目玉焼きを口に放り込めばムシャムシャとテレビの画面を見ながらムシャムシャと咀嚼して。「朝食を終えて準備したら出掛けようか」と相手の方を見て声を掛け )

いただきます。＿明石さんって甘党なのね─··好きな物あれば作ってあげますわよ！

( 隣に座ったのをみては両手を合わせ食事の号令をしナイフとフォークを器用に使いムシャムシャと食べ始め。昨日から気になった事を尋ねながらお菓子作りもある程度出来る為さり気く自信満々に言って。『ええ！楽しみです。』と満悦の笑顔で見つめ。)

ああ、甘いものが好きだ。ケーキにマカロン、クッキーにチョコレート…洋菓子が特に好きだな、亜葵は好きか？
( "甘党"と言われると砂糖をたくさん入れていたことに気付かれていたのかと思い、やっぱりなとへへっと笑って具体的に幾つか挙げ洋菓子が好きであることを伝え相手にも好きかどうかを尋ねれば残りを全て平らげゆっくりと珈琲を飲み干し「ごちそうさま、準備したら声掛けるよ」とカップを置いて挨拶して)

当たりましたわ。洋菓子はひと通り出来ますので今度色々と作りますね？＿私も甘いの好き。誰かの為にお菓子作って一緒に食べるのも悪くないですわ！

( 正解したのに手を軽く拍手する仕草をさせ嬉しそうな声色に得意な事を告げてから首を傾げ約束を交し、口許を緩ませ相手の一言に満悦の笑みで応対。いつも家で作っても1人で食べ残れば捨てていたので作る喜びが心地よく胸を膨らませ告げて。『私その間だ洗い物して置くので準備してきて。』食器を重ねて流しに持って行くと手際よく洗い物しては小さなポケットに入るノートに欲しい物を詳しく思い出し考えながら書き待って。)

それは良かった。是非作ってもらおう、紅茶も添えてな。では準備してくる。
( 相手も甘いものが好きだと知ると素直に嬉しく一緒にスイーツ食べに行ったりしたいが家でゆっくり話しながら食べるのも悪くないと思えば強く頷き、立ち上がり自室で黒シャツにベスト、灰色のスラックスに着替えてシルバーのリングが付いたネックレスを首から下げ腕時計を左腕に巻き扉を開けると相手が小さいノートにペンを走らせており上から覗き込むように「お待たせ、車でいいか？」と声を掛けて )

ええ勿論。

( スイーツの話になると表情が柔らかくさせる相手に笑を浮かべ軽く首を傾け一つ返事をして準備してくる相手を見送り。『荷物少なければ電車乗って見たかったけど─··荷物多いから車でいいわ！』庶民の使う電車に乗った事なく憧れでもあり唇に手を当て考えるが荷物の量を考え結果論を述べては白いロングコートに赤チェックのマフラと小さめな黒のポシェット下げ出掛けられる格好になり)

電車でいくか？車はいつでも乗れるからな、荷物は俺が持つよ。
( 此処から10分程歩けば駅があったようなと思い出し普段は車ばかりで電車に乗ることは少なく久しく利用してないことに気付き相手に尋ねてみて。黒いコートを羽織りクラッチバッグを手に持ちローテーブルから煙草を取れば胸ポケットに入れて準備が完了し)

えっいいの？じゃ─··電車で行きましょ。明石さん力持ちですから大丈夫ですわよね！

( 準備が完了した相手を見上げてはすらっとして素敵と思っては思わない一言に目を丸くし首を傾げ問い掛け、手を合わせその提案にのり見た目からの印象からで陽気な呟いて。『早く行きましょ。私電車早く乗らないと行ってしまいますわよ！』と子供のように呼び掛け。)