普通の日常をー【非募】

何だって？今行くから待ってろ！
（どこへ死体が消えたのか思案し、女性から聞いた話にヒントがないかメモを見返していれば声が聞こえ走ってそちらへ向かい）

見てみろ、床の下にもうひと空間あったんだ。
（上に上がり穴の底に電灯を当てて「墓荒らし対策でもしてなのかな」肩を竦め

墓荒らしって俺たちの事？
（手の込んだ作りに感心の声を上げ自分と弟を指差しておどけ、カバンから塩と油を出し「さっさと終わらせようぜ」死体に塩を振り掛けて）

この状況はそうとしか言えないだろ
（ケラりと笑いながら頷き、塩と油を巻き終えるのを待ち火を棺に投げ入れ）

ま、これでお仕舞いだな
（幽霊にも警察にも終われず無事に完了した事に胸を撫で下ろし、勢いよく燃える死体に視線をやり）

だね、終わったらなにか食べに行こうか
（ケータイの画面で時間を見て、燃え尽きた棺に土を被せながら来る前になにか食べてこればよかったと思いつつ視線を向け

賛成だ。可愛い子がいるバーでも探そう
（しゃがみこんで土をかけ最後にポンポンと叩いて完成させ、弟の案に賛成すれば立ち上がりシャベルを持ち車の方へ歩きだして

お好きにどうぞ
（仕事が終わった安心感と何も起こらなかったことの安堵感で小さく欠伸をして、トランクにショベルをしまい車に乗りこんで

モーテルの近付くにあったよな
（車に乗り込んだのを確認すれば勢いよくアクセルを踏み込み発射し、記憶を手繰ってバーがあった事を思い出し

小さいバーならね
（窓のふちに肘をかけ眠そうに答えながら「少し寝るからついたら起こして」そのまま目をつむり眠りに入り

はいよ
（チラリと横目に弟に視線を送り、音楽をかけようと伸ばしかけた手を引っ込めバンドルに戻し。少し走ったところで目的地に到着し「着いたぞ」肩を揺らし声を掛け

着いた？
（体を揺さぶられ目を覚ませば車はバーの駐車場に止まり、大きく背伸びをしてから息を吐き

あぁ、ほら降りるぞ
（ドアを勢いよく開け車から降り革ジャンの襟元を整えミラーで髪型も確認して、可愛い子がいても問題ないよう準備万端の状態でバーの扉を開け

なんだかこのまま寝そうな勢いだった
（目を擦りながら車を降り後に続くようにバーへ入ると店内の雰囲気と活気に覚めたように目を開き

眠いんならモーテルまで送るぞ？
（小さい店構えからは想像できない雰囲気にアタリだったと小さく頷き、少し奥まった場所にある小さめの丸テーブルの席に腰を降ろし

いや、おかげで目が覚めたよ
（息を吐きながら肩を落とし、首を振っては断り。同じように椅子に座りあたりを見渡し少しだけ体を前のめりにし「いい子はいた？」冗談っぽく笑い

あの子なんてどうだ？
（相手に合わせて前のめりに声を潜めその女性に気付かれない程度に指を差し、別の人が注文を聞きにくればガッカリと肩を降ろし「ビール2本で」指を2本立て注文し

いいんじゃないか？
（指を指した女性の方を向けば好きそうだなと思いみて、体勢を元に戻せばお目当ての人じゃない人が来たあからさまに落ち込む兄を見てプッと吹き出し）

人の不幸を笑うなよ
（店員が去った後で弟の足を蹴ってやり「あ、何か食べ物も頼んだ方が良かったかな」小腹が空いた気がして腹を擦り

なら、なにか頼む？
（蹴られた足をさすりながら目線で謝り。メニュー表を相手に渡し店員を呼べば先ほど兄が指を指してた女性店員が注文を取りに来