普通の日常をー【非募】

優しいサミーちゃんがしてくれよ
（軽口を叩く余裕はあり杭を受け取り構え、こちらに襲い掛かろうとした男が椅子に躓いた瞬間に「サム、今だ！撃て！」声を上げ男の懐へと潜り込み

痛がるくせに
（想像出来る様に鼻で笑えば両手で銃をしっかり握り、掛け声と共に眉間に一発打ち込み

（銃声と共に仰け反る男の胸元辺りに透かさず杭を突き刺し「よし、終わりだな」手を離し、後ろに倒れ動かなくなった吸血鬼を無表情に見下ろし

あぁ・・、さて帰ろう。警察が来たら厄介だ
（窓の外を見てまだ人が集まってないことを確認して早めにここから去ろうと提案し、帰る間際一階の部屋のカーテンを開け放ち

だな。こんな胸くそ悪い家さっさと出よう
（とんだ事件に巻き込まれたと溜め息つき、足早に家を出て「あの子はマジで好みだったんだが…」心底残念そうに呟き名残惜しく一瞬チラリと家を振り返り

なに、あの子にでも噛まれたかったの？
（まさかとは思いつつ冗談を交え、ポケットから鍵を出し「ほら、怪我の手当してやるよ」救急キットを取り出して助手席の方に座れる指差し

美人な吸血鬼なら悪くない
（冗談に乗り彼女に噛まれる様子を想像し顎を擦りニヤニヤし、助手席に腰を降ろし顔や腕など怪我した場所を弟に見せ

へぇ、なら見てみたかったよディーンが吸血鬼になった姿
（卑しい笑顔を浮かべる兄を見てククッと笑い。見せられた傷に消毒液をつけ「派手にやられたね」ガーゼも包帯で保護し

噛まれただけじゃ吸血鬼にはならん
（今度はドラキュラ伯爵みたいなマントを着た吸血鬼の自分を想像し、あまり似合わず図上で手を振り妄想をかき消し「いてっ！もう少し優しくしてくれよ」消毒の痛みに現実に返り、腕を引っ込め文句をこぼし

何を想像してんだか・・
（呆れ返った様子で肩をすくませ。処置中に急に体を動かし痛がる兄を見て「子供じゃないんだ、少しぐらいは我慢しろ」そんなのはお構い無しに怪我の手当をすすめ

それ染みるんだよ
（いい歳した大人が消毒液を指差し嫌そうに視線を遠くにやり「…もう終わった？」傷に触れる感触がなくなり顔の向きを戻して

何当たり前の事言ってるんだ
（情けなさそうな顔をする兄にため息をつき、こちらに顔を向けてくるが強引に横向きに戻し少し強めで頬にガーゼを貼り「これで終わりだ、痛かったかお兄ちゃん？」肩を軽く叩き

最後わざと傷に触ったろ！
（ガーゼを貼っただけとは思えない反動にすかさず抗議の声を上げ「痛かったから寝てやる」小馬鹿にされ完全に拗ねて、シートにもたれ掛かり頬をムッとさせ目を瞑り

触ってない、ガーゼを貼っただけだ
（完全に面白がるようにケラケラと笑い、「はいはい、じゃぁモーテルに着いたら起こすからね」子供みたいになる兄を見てまたもや笑い、エンジンをかけ元いたモーテルへと走らせ

（子供っぽく冗談のつもりだったが、疲れがどっと襲ってきて目を閉じて直ぐに寝息をたて、時折揺れて窓ガラスに頭をぶつけながらも少しの間眠りについて

（ゆったり目の曲をかけながら、モーテルに戻りつつ途中でダイナーによりパイとハンバーガーをテイクアウトし再び車を走らせ「着いたぞ」駐車場に付き隣で寝てる兄を揺さぶり起こし

…ん、あぁおはよ
（眠い目を擦り伸びをして車を降り、殴られた後で変な体勢で寝ていた事もあり体の節々が痛く厄介な仕事だったと振り返り「しばらく可愛い子がいるバーはやめよう」神妙な顔つきで冗談いって

そんなバーがあるといいな
（吸血鬼に化かされ少しはこりたか珍しいことをいう兄を見て苦笑いを浮かべ、モーテルに戻り「そういえば朝から何も食べてないと思って」帰り際買ったファストフードをテーブルに置き

おぉ、サムにしてはナイスだ
（言われてみればコーヒーを買いに行きしな巻き込まれた事を思いだし、空腹に気付けば突然腹が鳴り出し余計な一言を付けてハンバーガーに手を伸ばして

僕にしてはってなんだよ
（冷蔵庫からビールを2本取り出し、ハンバーガーに手を伸ばした兄を見ては「なら、僕はミートパイだな｣袋から残りの一つを手に取り