_____依存症。

＞嘉音ちゃん

勿論よ、貴方達が大切じゃなかったら先生なんてしてないもの。
( 尊敬の念を含んだ視線が此方をちくりと刺して、其れが微かにむず痒く感じる。実の所患者に対しての感情は主に欠落しており、彼等の為より己の為と言った方が正解に近い。唇からさらりと嘘を流しては彼女の困った様に下げられた眉を見て、へにゃりと笑って見せ。上下に緩慢に動いた彼女の視線、次いだ言葉にどう言えば良いものかと視線を逸らし、直様戻して。 )
誰だって磨けば綺麗になるわ。貴方も。


＞十和くん

あら、本当？其れじゃあ取れた時には印刷して飾っておきましょう。
( 思い描いていた蝶とは如何やら大分違うらしい。然し其処自体は大方自分にとって如何でもよく、彼にとっても同じ様だ。彼がカメラを持っている事を把握していなかった事実に少し驚けど、カメラがある事で何か出来るとも思わない。此処で追求して彼が再び心を閉ざしてしまっても困る為、彼の提案を受け入れる様に頷いて。特に何を考えた訳でも無く、次いで出した提案は悪くは無いだろうと自負して。不意に彼が呟いた言葉、先程より沈んだその音色に彼の心の中で如何なる葛藤が起こったのか、計り知れはせず。何か言おうかと開いた唇からは何も出てこない。唯々何も言えずに唇を閉ざし、彼の頬にかかる髪を払う様梳いて。 )