蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>白雨
ええ、ええ、全く。──初めてですよ。こんなに素敵な、雨の夜、は…
(どろりとした透明な液体を纏い、殻の中から這い出る様子を見つめること暫し。敷布の上に落ち着いた彼の瞳が水銀灯のようにじわりじわりと灯るのに、言葉尻を雨音に溶かして僅かに目を見張る。そうしているうちにやがて、瞳に呼応するように柔そうな髪までもが光を湛えはじめると、薄暗かった部屋はどこか月光にも似た──しかし幽かに暖かみのあるような明かりに照らされ、数刻前とは全く別の様相を呈していた。家具の影が色濃く落ちるなか、当人の発する光とは対称的に、どんどんと顔色の悪くなる青年の。全くそれを意に介さない様子に僅かに瞳を細めたのは、いったいどんな感情故だったか。「そうですよ──白雨。産みの親は名乗れないけれど。育ての親は、……この、わたくしよ」慈愛に満ちた微笑みは確かに"母親"のものであるのに、響く言葉はどことなく空虚。粘液でぬらりと光る彼の頬を指先で軽く撫ぜては、黄色に輝く瞳をそっと覗き込み「……でも、あぁ。貴方もきっと、わたくしを置いていってしまうひどい人ね」ずっと光を見つめているせいで、瞳とその奥がちかちかと痛む。しかし決して逸らすことはなく僅かに片目を眇めるだけに留めれば、無駄のない所作で微かな衣擦れの音を立てて立ち上がり)
蟲卵から生まれた化物は、生き物の血肉を喰らうそうですよ。……まずは食事にしましょう? 遣らずの雨が降っているのだから、おかえりになるには…まだ、早いわ
(/絡み辛いなど、とんでもないです!こちらこそ至らない部分も多いかとは思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。/何かありましたら遠慮なくお声掛けくださいませ!)
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