蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>ルリヲ
____ おいしくないの (名残惜しみ僅かと残る文鳥の獣臭を舌でなぞるだけ、歯ごたえと胃にずっしりと重みを与える満腹感を求めて歯を立てた鳥籠は余りに固くて涙の膜が張るほどに痛かった。ぢくぢく…と脳味噌を揺らめかす程の直接的で鈍い刺激に思わず絶句。呼吸すら止まる思いをした。えらい目に合ったと痛みが薄れるのを待ち、その間にも空腹は直ぐ後ろまで迫りくる。クルクル…キュウキュウ…ひもじいと鳴く腹の音は一層己を哀れに思わせる。漸く聞こえる襖の開く音、待ち望む姿に顔を上げると何処か不満げに返事を落とす。幾ら肉の臭いの残る皿を舐めたとして腹が満たされないのと同じ、文句の言葉を出迎えの挨拶にして籠を食むように上下のぽってりとした唇で挟み表情でも不満を表す。ああ、お腹がすいた。__くん、彼が近付くと色濃い肉の香りが漂い途端、反射的に瞳孔を開く。持っていた鳥籠などもう要らぬ、そう言うかのように躊躇い無く涎塗れのそれを手放すと「 ちょうだい 」にんまり。釣り上げる口角と細める両の眼、陶酔の表情で彼を見詰めるが視線の先には彼が持つ食事ばかりが映り込む。彼が持っているだろう食べ物を目の当たりにしてないが、残り香のように薄い文鳥とは比べ物にならない確かな肉の香りに手を伸ばす。「 るりを、私はそれがたべたい 」先程背に向けられた一言を、しっかりと聞いていたのだろう。逆手に取ればまるで言う事を一つ聞いたのだから私の腹を一つ満たせとでも言いたいか、明確な言葉を持って自らの要望を告げると長い髪をはらりと落とし。強い香りに思わず唾液が溢れる、じゅるり…と滴るのは一度覚えた飢えがみたされる事に対する期待であり。それをゴクリと飲み込めば真直ぐに、期待を隠さず滲む目を向け。だんまりと口を閉ざし、彼の動向を窺って。)
(/改行を交えてくれたことで大変読みやすく伝わりました!心遣いを感謝いたします。PL様の言葉選びを始めまして、並ぶ字面の美しさもさることながら読むことを楽しみにしておりますのでお好きなように、自由度を高く、負担にならず書きやすいやり方で気兼ねなく綴って頂ければ嬉しいです!)
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