蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>雪呼
(問うた疑問は正解だったろうか、返事が戻るまでその顔色を見逃さないよう確りとまあるく開いた眼を向け。野菊を一輪握る手を彼女の柔らかな手で包まれればその体温のなんと暖かな事、暖かさに心地よく気を許しては見たが、どうやら自分の描く奉仕とは彼女の望んでいたものと違う物だと知る。丁寧に、彼女が描く正解を教えられると寧ろ描かれる事を喜ぶようにコクコクと頭を揺らす。描かれる事が嬉しいのではない、自分の事を知りたいと望んでいると言う事実が嬉しくて堪らないのだ。その事実を思うだけで心臓がドクリドクリ…と脈を打つようで少しの気恥ずかしさすら覚えてしまう。離れてしまう手の平の温もりが風に吹かれあっと言う間に無くしてしまう、歩き始めたその姿を少し遅れて追掛ければ「勿論だ!雪ちゃんが望むことで俺に出来る事ならなんでもするぞ!。 でも、一つ残念な事が有るのだ___……ううむ、俺は俺が蜂で有る事と雪ちゃんが名をくれた事くらいしか知らん。それ以上の事が何も分からん、何が好きかも嫌いかも、何が得意で何が不得意かも今の俺には説明が出来ぬのだ」最初は胸を張り彼女の要望に応えたい気持ちは十二分に持っている事を、後者には自分自身が未だ自分の事を理解していない事実を述べ。ニギニギとすっかり消えた体温を探す様に自分の手を握りしめると先の温もりを思い出し"ふは"と生きを漏らす屈託のない笑い声を夜に響かせ「雪ちゃんの手は暖かいだけじゃなくて柔らかくて優しい手だ。火傷をするかと思う程、__いや、火傷をしても良いと思った」隣に並び目を向けるのは仄かに赤みを帯びた己の手、語る途中でハタと思い出したように顔を上げれば「雪ちゃん、俺、猫は余り好かん」一つ自分の事が説明できると気づき、喰らい好みじゃなかったその肉を自分の情報の一つとして告げて、告げれば時分の事を説明できるのが嬉しく、溜まらずに悪戯と口角を上げて。)
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