蟲 2016-11-26 12:01:37 |
通報 |
>雪呼
(ひたひた、と波を打つ水が入る盥を差し出されるとその中に両手を入れて。戯れと水中を泳がせてから飲む分を救い上げる。手を器にし水を飲み込むと渇きが潤いイガイガと喉奥で絡んでいた燻ぶりがストンと落ちて、"ぷは"と水を飲み満足した息を上げてから彼女の告げる言葉を自分なりに理解しようと繰り返す。__ううむ、なるほど。どうやら誰か邪魔な人物を消すことが望みではないようだ、そればかりは理解が出来た。次いで興味を引いたのは短くも彼女の事を教えてくれる情報、パチクリと瞬きを行い薄らと唇を開いて教鞭を取るその様を見つめ頭を縦に動かす「雪ちゃんは先生なのか!デッサンとは何をするのだ。美術と言う事は絵を描くのが上手なのであろう」手の平に残る水滴を払う為、ピッピと手を揺らす。濡れた手が風に吹かれ一層と冷たくて、思わず拳を握った。教えられる言葉の中には理解がいかない単語が多く、それだけで彼女がどれほど博識な人物なのか触れる事が出来た気がして少し嬉しい。嬉しいのだから表情は自然と明るさを帯び、興味を持っていることが伝わる声色で話に食いつく。が、続けて己の意見を問いかけるその言葉に"ぐぐぐ、"と饒舌な口は言葉を詰まらせ口をへの字に固めてしまう。彼女の為に人を消す事なら簡単だが、人を消すこと以外で彼女を喜ばすのは難しい。それが彼女の言う"知らなさすぎる"と言う事なのだろうと顔付を渋く、苦い物に変化させ。胸元あたりで両腕を組むと哀れになるほど答えを求めて首を垂らす、時折熱に魘される様に唸り声を交えては「__!」閃いた、萎んだ顔が笑みを取り戻すことでハリを持ち頬をふっくらと膨らませる。途端に瞳を輝かせれば周囲をキョロキョロと見渡し、何かを探す様に歩き始める。暗闇に慣らすため目を細めては見つけたそれに手を伸ばし、プチリと淡い紫色の野菊を毟る。一輪だけの素朴なそれを誇らしげに持って戻ると「さっき可愛らしい花を見つけたのだ。雪ちゃん、絵を描くのに可愛い花を見つけるのが砂乱は得意だぞ。それは雪ちゃんの好みの"奉仕"になるだろうか」蜜有る花を見つけるのは蜂の本能か、それが正解かどうかはわからないが答えを求めるように尋ねかけ)
トピック検索 |