蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>朝陽
___…、(今し方体温をくれた温かい手の平が水に浸り氷の如く体温を失い、首に触れる。力強く語られるのは命令ではない、説教とも少し違う。死にたいと願う事が強欲である、そう言わんばかりの有無を言わせぬ真摯な物。間抜けにも薄く唇を開き呼吸をする事すら止めて、その言葉の一つ一つと向き合えば言葉の意味を理解して死ぬことを望む事が既に欲であると知り。頭蓋骨同士がぶつかるように、こつりと響く小さな音が伴って顔が近づくと瞳は矢張り逃げようと伏せられ居心地悪そうに右へ左へ泳ぐこととなり。彼が触れていた事実を消してしまう様に、首に残った水滴が手拭いに吸われてしまう。あっと言う間にその証拠が消えれば困惑するように言葉を探し、首に掛けられた手拭いの先をガジガジと加えては歯で噛んで「__名前。なんて呼んだら良い」じっとり、とした梅雨をも思い出させるジメジメと鬱屈な声で問う。親を語る彼が、死ぬなと語るならばその言葉の薬が意味を持つ間は延命の如く生きてみる。そんな浅はかな考えの下に、何も変わらない、自分とは比べる事すら不躾だろう彼の存在に興味を持ち。手拭いを咥えていた唇を離すと、前髪越しにチラリと目を向ける。甘さを含んだ髪色は優しい色をしており、浮かべる微笑みまでもが優しくお天道様のように温かい。何もかもが自分とは違い過ぎる、嫉妬で気が触れてしまいそうだと一度向けた目を再びすぐに逸らして。一度大きく深呼吸を行ってから「腹が減ったら我慢は出来ない。月が真ん丸な夜は、猫も金無しも、女も子供も、__親も全部一緒。俺はきっと、親殺しの親不孝になる」指先を落ち着きなくモゾモゾと動かして考える事は堂々巡りの後ろ向き思考、それでも良いのか。そんな脅しを掛けるように言葉を終えて)
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