蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>月夜
( 似てくれるなとは、思ったが。確かに、腹の中で燃え上がる興奮を抑え込み落ち着き払って声を掛けた己と、喘息の様な呼吸音をかき鳴らすこの男とではまるで反対だった。粘つきながら、めきめきと広がる薄茶色の羽。蛾か、なんてぼんやりと考え、苦しそうに言葉を紡ぐ男から視線をそらさず「―――死にたい奴は、必死に呼吸なんてしないと思うけど。親不孝な事を言ってくれるね。」なんて冷静な声色で言ってのけ。長ったらしい髪を振り乱しようやく露わになったその顔をまじまじと見つめると、ひゅうひゅうと空いた喉、口、その上で尖る可愛い鼻を、子供を叱る親のように、慈愛を持って容赦なく摘み腕の力でぐっと後ろへ押してはぱっと乱暴に放って。幼子とは言い難い大きさとはいえ、やはり生まれたばかりのコレがどうしようもなく可愛くて可笑しくて、くつくつと小さく笑って今度は片膝を立てた。なんて素晴らしい夜。窓から差し込む清らかな光、その先で欠ける事を知らず煌々と輝く満月は、今まで見たどの月よりも美しかった。―――なぁう。控えめな声が耳に届いた。うにゃあ。二匹、いるようだ。恐らく彼の耳にも届いただろう、窓のすぐ向こうで生を謳歌する野良猫の声が。「…そら、行っておいで。満たす方法は知ってるんだろ。」なんて静かに呟けば、親を自称する割には生まれたばかりの子供の狩りに手を貸す気はさらさらないようで、ただにこにこと微笑み彼の動きを見守っていて。 )
( / keep時のロルテに加えプロフまでお褒め頂けるなんて…主様の描く世界とキャラクターに魅かれ参加を希望させていただいた身なのでとっても嬉しいです。ありがとうございます。参加も許可してくださりありがとうございました。こちらこそ、これからが楽しみです!レス回収、展開について等何かございましたら遠慮なくお声掛けくださいね。これから宜しくお願いいたします。 / 蹴可 )
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