贄の子 2016-11-11 23:13:29 |
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……俺は、入っていいと言った覚えはねぇぞ。
(部屋の中へと入れば、奥の方へ進んで力ば抜けたようにその場に座り込み。入口に背中を向けたまま壁に体をあずけ。今朝の夢もあってか、胸の中のもやもやは膨らむ一方で。相手のことに惹かれているのは自覚しているが、一人前に嫉妬するほど大きくなっていたのかと自嘲し、その裏で村での自身の在り方を思い出し。どことなく相手との壁を無意識に感じていて。相手の声とともに戸が開く音を耳に入れ。顔を向けることなく告げるその言葉は自分でも驚く程冷え切ったもので。「入ってくんな、近づくな。…今、お前とは会いたくねぇ」顔を見合わせたが最後、胸の中で膨らみ続けた激情をぶつけてしまいそうで。)
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