主 2016-10-15 17:52:35 ID:c42014d3d |
通報 |
(/主様、参加許可ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。
文はall宛、ウォルター背後様宛、カラ背後様宛、フランチェスカ背後様宛、ドロテーア背後様宛、シン背後様宛の順となっております。またハービヒト様のall宛文が見当たらず、今回は省略させていただきました。申し訳ありません。皆様とこれから少しずつ絡んでいただけたら幸いです。)
>all
少し、休む必要がある、か……
(その日の竜騎士科の飛行訓練もとうに終わり、だれもいない閑散とした闘技場。様々なトラップが仕掛けられた飛行練習ホールで、エイラを宙に駆りさらに自主訓練を重ねていたが。連日の座学授業のための深夜までに及ぶ勉強でかなり披疲労してていたのだろう、がくり、と身体が滑り危うくエイラから落ちて地面に激突しそうになったのを、エイラがとっさに旋回してくれたために救われて。訓練を切り上げ、今は手綱を引きながらエイラとともに彼女の厩舎に向かっている。気をつけなさいよ、貴方が死んだらだれが私の鱗を手入れしてくれるというの? と怒ったように、しかし心配するように彼女の鼻面に背中を突かれ、力なく笑ったのちに、ヴェンデルはぽつりと呟き。日常においては、常に飄々と余裕を振る舞い、貴族にも引けをとらぬと周囲に示してきている。だが、そのために陰で努力し続けるのにも、少しガタが来たようだ。潰れないために、少しは休養しなければ──そう思いながら、厩舎の正面口に回るため建物の曲がり角を曲がって。)
>ウォルター・マクニール
……!
(時刻は午前11時を少しばかり過ぎたころ。奴隷身分である以上、上の階級が食堂に溢れかえるタイミングから少々ずらし、今日も1人早めの昼食を摂りに来た。だがその日は予想外なことに、高貴な白い鎧に身を包んだ長身の貴族の学生、マクニールと居合わせてしまい、テーブルについていざ食べようととしていたヴェンデルの動きが凍りつく。平等主義で知られるおとなしい人格者、しかし彼に関する黒い噂が絶えないこともまた事実。自分がこうして階級に束縛されている毎日に憤りと疲労感を覚えはするものの、本来貴族の目に触れれば鞭打ちの刑に処される身分の自分が彼の食事時に居合わせるのは、さすがにまずいだろう。トラブルは事前に避けた方が良い。コンマ数秒の逡巡ののちにそう判断すると、皿を乗せた盆を持ち別のところへ立ち去ろうとして)
>カラ
……大層な名前だが、あれは王族の名字じゃなかったか? だとしたら学園中が大騒ぎになってるはずだ──あいにく、俺はそんな光景を見たことがないけどな。
(今日も見に来た成績表。自分の成績はあれほど鍛錬を積んでなお上位層の下方に位置し、充分優秀ではあるはずなのだが、それでも自分よりもっと早くからもっと高度な英才教育を受けてきた特権階級との実力の差に、悔しさは募るばかり。ここ最近は特に伸びず、自分には才能がないのではないか、との不安が脳裏をちらと掠めぬ日はない。そんな折、頂点に君臨する聞き覚えのない名に目を留めると、おそらくは平民であろう、フードを被った隣の小さな青年に対し、しばらく沈黙してから答え。奪い取りたい頂点の座、そこに刻まれている奇妙な名前は、昔商人の教育で王室について学んだ時聞いた覚えのあるものだ。ゆえに、その人物はおそらく身分上素性を偽って学園に在籍しているのだろうと推測する。だが、その正体探しはどうでも良い。王族、そして最高成績を収める者。その人物になんとしてでも勝ちたいと、ただ無謀な闘志を燃やしていて)
>フランチェスカ
おい、何者だ? 騎兵科でも竜騎士科でもない人間がなぜここに──、……お前は。
(日がな一日、上の者たちに追いつき追い抜くべく、しかし未だ頂点には届かぬ悔しさを噛み締めながら、ひたすら訓練したあとの夕方。疲れた体を引きずりまっすぐに向かったのは、愛竜のいる馴染みの厩舎。そこでエイラに寄り添い、鱗の手入れをしながら今日1日のことを語り聞かせる穏やかな時間を過ごしていたが、他の檻の竜たちが突然見せはじめた警戒の雰囲気、そして何列かの檻の向こうで何かを投げ捨てた金属音に、ヴェンデルとエイラも何事かと怪訝そうに振り返り。自分の竜や馬に用のある学生ならそこの正門から来るはずだが、音の主は違うようだ。エイラが「気をつけて」と鼻を鳴らす音を背後に聞きながら、護身用の短剣の柄に手をかけ、竜たちの折の間で不審に蠢く何者かのところへゆっくりと向かっていく。そして抜き放った剣の切っ先を向けながら相手に対し威嚇する。が、暗がりで目に入ったのは、色鮮やかなゴーグルを目にかけ何か熱心に作業している、異国の血を思わせる褐色の肌の少女。その異風な美貌と個性的な性格は確かに有名だが、そうでなくても、同じ苦難を味わう奴隷階級──同胞の顔は基本的には知っている。故に、名までは知らないものの、警戒心は掻き消えて、豆鉄砲を食らったような表情で目前の少女を見下ろし。)
>ドロテーア
!! ──申し訳ありませ、……っ
(エイラの鱗の手入れをするため、厩舎裏にある倉庫から用具を借り出し、いざ彼女の檻に向かおうと、外から厩舎の正面口に回り込もうとしたその矢先。目の前にぬっと現れたの名は白黒の毛が美しいマルワリ種の優雅な牡馬。とっさに飛びのいたので無事だったものの、瞬時に騎上の騎手を確認すれば、そこには雲越しの柔らかな陽の光を後光に受ける、優雅な馬術服を纏った華やかな顔立ちの少女。その雰囲気からとっさに上流階級の学生だと判断し、膝をついて目を伏せる、卑屈でも生意気でもない適度な礼節をわきまえた態度をとり、見逃してくれればいいが、と状況を少し危ぶみながら謝罪したが。その最中に相手が気遣うような言葉を口にしながら馬から飛び降りたのを見て、思わず顔を上げ、わざわざ謝罪した相手が奴隷階級だとわかればどのように出るだろう、と相手の少女を鋭く見てしまい。)
>シン
今の音、結構響いてたが……大丈夫か? その、脚は。
(授業もなく解放された闘技場には、今日もまばらな人影がある。彼らはたいてい、己の戦闘技術を向上させるべく修行している優等生か、退学にならぬように血の汗を流し自主補習している劣等生かのどちらかだ。ヴェンデルはしかしどちらでもなく、今はただ、教員に命じられて授業用の武器の運搬を行なっていたのだが。ミシッ、と骨の軋むような音に反射的に振り返れば、そこには義足をやや物憂げに見つめながら腰を下ろす黒ずくめの少年がいる。中等部でトップの成績を誇る同じ竜騎士の彼のことはヴェンデルも知っており、特に彼の操る雷帝竜には以前から強い興味を抱いていた。ゆえに、先輩とはいえ下層の自分から話しかけるのを彼はどう捉えるだろうか、とやや躊躇いがあったものの、ランス数本を肩に担いだままシンのもとに歩み寄ると、ぶっきらぼうだがかすかに気遣っているのがわかる口調で声をかけ。)
トピック検索 |