主、 2016-03-13 00:02:42 |
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≫恭
え、あ?…おかえり?
(唐突に聞こえた相手の声に思わず狼狽え、驚いた顔でそちらを見遣れは相手以外に人影はなく手にはコンビニ袋を見つけると、言い知れぬ安堵感を覚え自分の杞憂に過ぎなかったのだと、ホッと一息つき。口をつけていたビール缶をシンクに置いてから慌てて、不貞腐れたように眉根を寄せ自身の横を素通りしていく相手の後ろを付いて「悪い!急に居なくなったから、もういらねぇのかなって思ったんだ。ごめんな、恭」座る彼の顔を覗き込むようにしゃがみ弁解しようとするものの、相手の「おみやげ」の言葉に自分の為にとわざわざコンビニまで行ってくれたのかと思えば自然と顔は笑みを浮かべてしまい。その瞬間は確かに相手は自分の事だけを考えてくれていたという事実に先程まで苛立っていたのがなんだかとても馬鹿らしくなり、相手の頭を撫でながら「ごめん、梓に付いてっちゃったのかと思って。ちょっとヤキモチ妬いたんだ」ともう一度謝り
≫梓
はいはい、梓が春を幸せにしてくれんならそれが一番だと思ってるよ。
(お前が春に執着しててくれれば俺も安心だし、なんて思いながらもお互いに利害は一致しているのにどうしてこうも上手く行かないのだろうかと小さく溜息をつき。「もういっそハート型とかにすればいいんじゃね」と相手がいかにも好きそうな提案をしつつも、自分は恭にはしないし春は恥ずかしがりそうだけど、なんて思えば苦笑が溢れ。「あ、オッケー。そしたら今度は軽く混ざれば良いや」相手の持つボウルを見て黄身と白身が完全に混ざっているのを確認すれば今度はそこに牛乳とみりんを少し混ぜ、自分は薄力粉と砂糖、ベーキングパウダーを取り出し
≫春
ここ、座れ
(依然として主張を続ける相手に、自分の幼馴染はこんなに頑固だったかと溜息が溢れ。そのままダイニングを抜けリビングにあるテーブルにパソコンを置くと、ソファーにどさりと座り、隣を手で叩きながら上記を告げ。予想以上に冷たい声色になってしまったため、これでは相手は怖がってしまうか、と思い直せばガシガシと頭を掻きながら「春が俺の事大事に思ってくれてんのは分かるし、多分それと同じくらい俺も春が大事でさ。だから、俺が春の心配するのも当然だと思うわけ」努めて優しい声色で、相手を怖がらせないようにとゆっくりと言いながらもどう伝えれば相手は納得してくれるのだろうかと悩み
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