ハザマ 2015-05-13 13:04:14 |
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>アマネさん
いえ、…(少し向こうで華奢な腰を上げた相手が真隣に移動してくると懐かしい桜花の芳香が深まり、恥ずかしがりながら肩に凭れ掛かる薄紫色の頭を感じると静かにじっとし。じわじわと触れ合う場所から伝わる温度や身体の形を器(からだ)が幸せに享受しているような気がし。指先を絡める手を此方も片手で少し取ると番いの動物のようにそっと此方も頭が寄り添い、離れがたい頭の温もりは冷えた月夜の気温の所為なのか静かに甘えてくる相手の温度とせめて一緒に居られる時間を重ね)
……、(泣きそうな顔を見ると気付けば抱き締めていた此方の急な抱擁に驚いたのか腕の中で身を強張らせていた相手が身体を弛緩させ、頬を擦り寄せて寂しげに甘える仕草を首元に感じ。此方の名前を呼ぶ声はきっと以前の自分を呼び起こそうとしている、そんな気がして。もう謝らないで欲しいと涙を溜める水色の瞳(め)を見ると胸中がぎゅっと掴まれる気がしながら頬を両手で包み込む優しい手の感触と額が合わさり、嫌ならと前置く相手の言葉を理解する前に水色の瞳が閉じたかと思えば唇が重なって、いつもしていた気がする感触は気のせいなのではなく。いつも飽きずに毎日二人で笑いながら確かめ合うように交わして、いつも幸せだった。五感から喚び起こされる記憶は何処からともなく溢れて、二人で幸福であった記憶を独りで抱えて辛いように腕からするりと抜けていく相手の背中を見ると、引き留めるようにぐっと背中から此方の胸元へと腕で引き寄せて。ぎゅっと強く抱き締め)
――…"アマネさん、"アマネさん、ごめんなさい…忘れたりして、……アマネさん、会いたかったです(強い抱擁で相手が息苦しくなってしまっているのではないか、頭では分かっているのに華奢な身体を強く抱き締めながら相手の髪や肌から香る桜のような匂いに包まれ。以前の自分と今が一つに馴染み出すと相手の名前を呼んで何度も謝り。本来泣いたりなどする機能など無い筈の器(からだ)はまるで人間のように、記憶の無い間相手が恋しかった事や傷付けてしまった事、止めどなく溢れてくる記憶と共に涙して)
>テルミさん
……折角貴方からお暇を頂戴しましたのにね。申し訳無いです(どう足掻いても創造主に抗えていないという此方の現状を知って苛立ちを覚えさせたらしい様子にも気付いてか気付かずなのか、相手からの施しを無下にしてしまっている事を謝りながらも。ただ彼からしては何処までも運命共同体のような此方に疎ましさすら感じているのかもしれないなと思い。レリウスの元へと戻る理由等ないと突っ跳ねる主を眺めながら「…ええ、戻る必要は無いですね。」と同調か、己の実直な意見なのか相手へと何方とも付かないような言葉を溢し。振り返ったそのフードの闇に浮かんだ碧の目は顔半分が荒神(スサノオ)の鎧面のような厳めしい形相であるのを目にしてぞくりとしたのか睨み付けられるなりビリッと振動した空気が顔の肌を撫でる気がし。此方の質問へとその形相を掻き消す相手の顔には相変わらずの策略家たる嗤いが三日月のように口元へと浮かんでいて)
隠されているもの、ですか。…確かに、ある程度なら影響を受けませんが。…うーん、代わりに見に行けば、私と一緒にちょこっと大佐の所に顔を出して頂けるとか。
…っていうのは、あまりご気分が興じませんね?(本音を言うと彼と創造主を引き合わせる事自体此方もあまり気乗りでないらしいのか、「…わざわざ貴方まで檻に戻る必要はありませんよ。」とほんの小さく独り言を溢しつつも恐らく今もこの状況を観(み)ている上司の気配に飽くまでも此方は誘ってみたと言う形を取っておきながら相手の指示する洞窟の手前まで歩み出し。あまり警戒心も敵意も無いのか彼の隣まで行くと奥までは見えない真っ暗闇の先を軽く身体の軸を傾けて覗き込みながら主に顔を向けて)
…ええっと、このまま行けば良いのですね?…何かあれば意識にでも呼び掛けてください?(多少の距離なら此方の精神に直接呼び掛ける事位は恐らく彼なら可能なのだろうと思っての発言か。ここでも切っても切れぬ精神と器の名残がそれを可能にしているのも皮肉と言えば皮肉なのかもしれないが。兎に角、主が人を利用する利用しないは抜きにしても相手は口約束や抗弁を垂れる者より行動でそれを示す者を信じる節があるのを理解してか「一応、さっきの件は考えておいてくださいね?」と、先程の願いを軽く掘り起こして主に笑んだまま投げ掛け。ポケットに両手をしまったままジャリ、と薄暗く妙に冷えた洞窟内へと靴底を踏み出していって)
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