時は2000年＿＿＿現世.
医療が進み､科学が進み､人間が進んだ世
都会からそう離れてはいない閑静な住宅街
其処を抜けると田舎と錯覚させる様な森が有り､
更にその奥深くには集落の様なものがあった.
集落とはいえ少数の建物が疎らに建っているだけだが､
其の中でも一際目立つ洋館が一つ
大きな洋館風の建物には所々蔦が蔓延り､
然し屋根の瓦は欠けること無く其処に存在している.
建物の壁は白く､古びたと表すには少々小奇麗な建物だ.
其処には吸血鬼が住むとされ､集落の人々は皆引っ越して行った.
然し､数ヶ月もしないうちに其処に越して来た若い夫婦が居た.
可愛らしい容姿の女性と端正な顔立ちの男性､何方も20代半ばの頃
女性は可愛らしい容姿とは裏腹に気が強く､男性はとても穏やかだった
そんな夫婦に双子の子供が出来た.
夫婦は大層喜び､子を産んだ.
それは､2000年の秋の事だった.
それから15年､双子は二卵生の様で
兄は母親に似て可愛らしい顔立ちの青年に､
妹は父に似て綺麗な顔立ちをした少女に成長した.
人間にしては整った顔立ちがに釣られる者は多かったものの､
兄妹は一人として相手にしなかった.
そして15年､秋.
二人の誕生日に両親は都会の方へ働きに出る事を告げた.
海外に行く事もあり､正月以外は帰れるかわからないと言う夫婦を
二人は笑顔で送り出した.
不安はあったが､二人ならきっと乗り越えられる､そう思って.
然し､2015年＿冬.
二人にとって予想出来なかった出来事が一つ起きたのである.
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