Free / りんはる / 非募集

『ーー...じゃあ、七瀬くん、始めようか』

『ん、ああ』

(ビデオは止まる事無く進められ七瀬遙の声に似た遥は頷くと服を脱ぎ始めその下には競泳水着を着ており脱いだ制服を誰かわからぬ男に渡し恥ずかしがる仕草見せずに中央に立つとパシャリ1枚撮られ同じポーズを撮ってから上下横と色々なアングルや可愛いイルカの縫いぐるみ持たされ撮ったりして/相手がビデオ見ていると知らずに洗濯が終われば干してから台所で水飲み)

…、ちったあ拒むとかしろよ(容姿ならまだしも声質までそっくりで撮影されてるのにも関わらず平然と服を脱ぎ出していく人物が水着まで着用してるとなればどうしても本当と重なり合ってしまい、最早他人を見てるという感覚では無くなり掛けて脱いだ制服を今し方出て来た男に渡して何ら恥じらいもせず撮影に挑む姿の映る画面にぽつりと何処か苛立ち含んだ声で呟き零せばこれ以上先に何が待っているかは容易に想像出来るらしく堪え切れずにテレビを消しそのビデオと袋は放置したまま台所に有る気配を薄々感じて部屋へ戻れば見た事忘れるべく先に布団へ潜り瞳を綴じて眠りに入ろうとし/)

(一仕事済んで携帯にメールが来ている事確認し内容に『わかった』と短文送り携帯を持ちながら階段を上がり部屋の薄暗さに誰もいないかと思えば布団が膨らんでいる事に気付き相手に近寄り「りん..？」と声掛けて)

ん…おう、悪ィ.少し寝てた(相手が戻って来ても寝た振りをして遣り過ごそうと考えて居た刹那布団の暖かさに負けて軽く寝入ってしまい、相手の声で沈み掛けた意識は直ぐ浮上するも先程の事が未だ引っ掛かかって居る為か平常心装いながら視線を向けて)

...そうか

(日々の部活の疲れかと考えれば相手の様子気にする事無く部屋に散らばった袋に気付き持ち上げて己ではないと思い。ふとさっき見た渚からのメール思い出し袋の中に何も入ってなく、不思議そうに周り見てからもしやと相手の方に視線向けて)


...中、見たのか？

…、まあ暇だったからな.見られてマズいもんなら人の目に付く様な所に置いとくなっつの.てかなあ…ハル、御前そういうのが好きなのか？(例のビデオが入っていた袋を持ち上げる相手に今更ながら片付けるのを忘れていた事に気付くも向けられる視線に罰が悪そうに顔を背けて、見てないと言い訳をしようにも二人だけの空間で其れは苦しく言い難さに駆られるが正直に告げつつ今も尚ビデオが私物だと勘違いしてる為か恐らく相手も視聴したで有ろうと思い複雑そうな面持ちで問い掛けて/)

...りん、さっきから何を言ってるんだ(見られたらまずい、そういうのが好きと中身を見ていない己は理解出来ずに相手の口振りから中身はただのビデオではないのだろうと悟り相手から顔背ける様にテレビを見つめ転がったリモコンを手にとり電源入れてビデオ再生ボタンを押すと)

だから、って…おい.ハル、(どうにも話が噛み合わず何の話をしてるのか解らぬといった様子から何かが可笑しいと違和感を覚え始めた所で放置したのが運の尽きかビデオを見始める相手に思わず身体起こして、画面には己が途中で止めた場面の続きが流れて仮に知らないとして相手の瞳にはどう映るのだろうかとちらり反応を窺う様な視線送り)

...！(相手の言うこと耳に入れずテレビに映し出された映像に目を見開いて。映っているのは己自身であり場面切り替わればイワトビTシャツを着ている姿に変わり「..あ」と何か思い出したのは早送りして最後の撮影見ては確信出来たようで相手の方を見ては)

...りん、これ、文化祭の個人撮影の映像

…、は？( 何とも予想外の言葉を受けて間の抜けた声が洩れ己も本当かどうかを確認すべく視線を画面へ向けて見れば後に相手と一緒に昔馴染みやらが映り出されて居て沸々と安心感込み上げて来ると同時に脱力し「っ…んだよ、何かいかがわしいモンかと思って勘違いしただろ.無駄に嫉妬して損した、」等と言葉を洩らしては深く溜息を吐いて)

...如何わしい、...りん、ちょっと待っていてくれ

(安心している相手の言葉聞いてぴくと眉を動かし携帯片手に部屋から出るとメールを貰った主に電話を掛け渚が何か喋っている事など無視し『なぎさ、...月曜日ただじゃ返さないからな』と己の言いたい事を一言述べ焦る渚気にせずぶちっと電話を切り)

…？お、おう.(ふと立ち上がる相手を不思議そうに見遣り室内で待つ様に言い残して出て行くのを目で追いつつ短く返事を返しては閉められた扉の先の遣り取り等は無論耳に届く筈も無くただきょとんとして扉を見つめ)

...(何も言わずに部屋に戻ると机に携帯を置いてからリモコンでビデオ停止し取り出すと袋にしまい相手の腹部辺りの布団に座ると一言漏らし)...疲れた

あー…、大丈夫か？(開かれた扉の音が鼓膜を揺らせば戻って来たのだと判り再度視線を向けて腰を下ろした相手から発された疲労感帯びた言葉に何が有ったのかと気になりつつも何故か追求はしない方がいい気がしてただぽんぽん、と労る様に頭に触れるだけに留め)

ん...(相手の言葉に小さく頷いて頭の手を取り軽く握り「ビデオ、ごめん...」と写真だけだと思っていた己に隠れてビデオを撮った渚に苛立つも中る相手いなく感情閉まって。相手に勘違いでも見せてしまったビデオの事を気にして謝り)

別に…お前が謝る様な事なんて何もねえだろ、勝手に見ちまった俺も悪いんだし…気にすんな(頭撫でていた手を握られると同時に向けられた謝罪には己の勝手な行動にも充分非が有ると認め悪いと思ってか瞳を合わせ難そうに逸らすも言葉だけはしっかりと伝え返して)

..お互い様にしよう.(いくらそう言われてもあの撮影が原因なのは変わらず、相手も悪いし己も悪い、ならと上記口にして瞳逸らされ相手の手を離すと布団捲り中に潜ろうとし)

おう、って…ちょっと待て.御前、ベッドで寝るんじゃねェのか？(淡々とした口振りに視線を戻して頷くが自分のベッドでは無く布団に潜り込もうとする相手に気付き一旦制止の声を掛けて/)

...気にするな(止められてしまい素直に一緒に寝たいとは言わずに布団の中に入ると相手と反対向きに横になり)

…気にすんなって方が無理だろ、ハル…こっち向けよ.(遠回しに傍に居たがる相手を見ては小さく呟くも今日はやたらと素っ気ない態度ばかり取った己を思い起こして偶には正直になっても良いかと背中向ける相手を呼んで)