◎forbidden love~/nl◎

あ､違う､違うの! 先生は悪くない､謝らなくていいんです｡
(相手の困惑した表情に慌てて数回首を横に振ると否定の言葉述べて｡どんなに多忙でも毎日こうして己の為に時間を取ってくれる優しい恋人に此れ以上の我儘は云えない｡笑みを張り付けると僅かに顔を伏せて誤魔化すかのように｢今度､数学教えてください｡｣再度顔上げ僅かに首傾け反応窺い｡相手の問いに背中側の衣服を弱く握りつつ｢..子ども扱いしないで｡｣不服げな視線を送り呟くように告げ｡目線が合うと心臓が甘く締め付けられる感覚､徐々に距離縮まると何時迄でも慣れる事の無い動悸に逃げ出したい衝動に駆られるも目を固く瞑り僅かに顎を上げ口付けを待つような体勢に｡)

さんきゅ。＿..ああ、数学だけでいいのか？(相手の言葉に些か救われた気がする。とは言っても仕事や世間体を理由にやむを得ずだが中々恋人らしい事をしてやれない自分自身に歯痒さが残るのは否めないが。其んな中何かを誤魔化す様にして相手の口から紡がれたのは数学を教えて欲しいと言うもの。己にとっては勿論容易い事であるが、他にして欲しい事はないのだろうかと確認。「じゃあ、大人扱いしていいんだな」なんて相手の耳元で囁いてみれば妖しく口端吊り上げ。相手が瞼落とすとそっと軽く触れ合うだけの口付けを落とし)

..え､他のことも､教えてくれるの?
(相手を困らせる事は云いたく無い上に友人達と恋人に比べれば僅かではあるものの今の時間が幸せで堪らない為に胸の中の燻りを飲み込み｡思いもよらぬ言葉に不思議そうに数回ぱちぱちと瞬きをしては僅かに首を傾けつつ問い掛ける台詞は相手の意図掴んでいないもので｡鼓膜を擽る相手の低音にとくんと鼓動は高鳴り頬赤らむのを感じ慌てて俯きながら｢っ..そう､して欲しいです｡｣顔を見れぬまま小さく頷き｡触れ合うだけの口付けは何度目か数えられぬ程､柔らかな感触離れるとそっと双眸開き)

ふ、知りたい事があるなら教えてやるけど。＿..そう言うんじゃなくて、もっと甘えろって事。(さて、相手からはどんな言葉が返って来るだろうか。何時も我慢させている分、偶には相手の望みを聞いて遣りたい。しかし、相手が発した言葉は己が想像もしていなかった事。どうやら質問の意味を履き違えている様だ。拍子抜けしたのかくくっと喉奥鳴らせば表情緩め上記を。恥ずかしそうに俯きながら己の言葉に頷く相手。ちょっとした悪戯心で言ってしまったのだが其んな反応をされては堪らない。「..馬鹿、あんま煽るな」何て若干余裕なさ気な表情で。唇離せば愛おしそうに相手見詰め。相手の綺麗な髪に触れると梳かす様に指絡ませてみたり)

私は..いっぱい甘えてるし､いっぱい時間作ってくれるの､嬉しいよ｡――先生は? してほしい事とか､ない?
(授業中に殆ど見せる事の無い笑みに心の中ふわりと温かくなる感覚､何か月経ってもこうした小さな相手の表情の変化に一喜一憂してしまう｡嬉しそうに目許緩めては首小さく横に振り本音を漏らし相手同様の言葉を僅かに身乗り出し尋ね返して｡相手の切な声色におずおずと視線上げると普段の余裕綽々さ感じられぬ面持ちが双眸に映りきゅう､と胸の奥が締め付けられる｡然し本意捉える事出来ず首傾け｢..煽､る?｣反芻させつつ問い｡此方見詰める黒色の瞳から目を離せずに僅かに眉尻を下げ､相手との間に流れる心地好い沈黙崩さず､髪撫でる掌に頭部を寄せ安堵したように小さく息漏らし)

ま､何かして欲しい事出来たら言えよ｡＿俺か?そうだな..お前の作った弁当が食いたい｡(相手の返答からは一先ず現状に幸福感感じていると言う風に解釈する事も出来る為､安堵の溜息つき｡まさか己が相手に投げ掛けた質問が返されるとは思ってもいなかった｡事実､己も相手と一緒に居られるだけで十分なのだが折角の相手の厚意を無駄にはしたくない､僅かに首捻り思案を巡らせては数日前の相手との会話の中で料理を勉強中だと言う話が印象に残っており､透かさず其の話題を引っ張り出して｡己も教師である前に一人の健全な男であって愛しい彼女と此れ以上密着した侭､近距離で見詰められるとなると変な気を起こしてしまいそうだ｡相手は其んな己の胸中にも気付いていない様で更に質が悪い｡問いにも正直に答えられる筈も無く「いや..何でもねぇよ｡気にすんな」と告げれば腕の中から相手解放し｡そうなれば必然的に暫しの間触れていた相手の頭部からも手は離され､相手に己の胸中悟られまいと「今から数学始めるぞ」何て誤魔化す様に述べ)

うん､ありがと､先生｡ ――お弁当､..っわかった! 明日､頑張って作ってきます!
(優しい言葉は堪らなく嬉しく､表情綻ばせつつ頷いて｡思案している様子見せる間緊張の面持ちで待つもつい先日の己の言葉覚えていた事に驚き数回瞬きして｡未だ修行中故に自信は無く､相手の誕生日迄に上達し料理振舞う心算だったらしく心の準備は出来ておらず相手の言葉反芻させるように呟いては躊躇うように視線を泳がせ｡然し珍しい相手からの我儘に応えたい気持ちが強く意気込むように笑み浮かべ茶化すように小さく敬礼してみせ｡目線合った侭どれ位返答を待っただろう､鼓動は平時よりも早く脈打ち一瞬がとても特別な物に感じる｡然し己の身体やんわりと離す相手に困惑げに僅かに眉下げ｢先生..?｣"気にするな"との発言は逆の事を思わせてしまい思考巡らせるも唐突な相手の言葉は先程自身がお願いした物で刹那瞠目し｡触れるべきでないと感じ名残惜しげに相手から手を離すと｢えー..今から?｣なんて冗句混じりに問い掛けながら笑み張り付けるも扉の方に落としてきた鞄拾いに向かって)

ああ､楽しみにしとく｡明日寝坊すんなよ?(己の返答に戸惑う素振り見せる相手に弁当が食べたい何て唐突に言ったのは困惑させるだけだったかと思い､其れなら違う事を頼んでみようかと己が口を開く前に相手から返って来たのは元気の良い了承の言葉｡どうやら早速明日作って来てくれるらしい､となれば勿論通常より早く起床しなければいけない事になるだろう､其の為相手を追い詰める気は更々無いが冗談混じりに寝坊しない様にと｡相手の切なげな表情と声音に一気に罪悪感が胸に押し寄せる｡其れも其の筈､何を答える訳でも無く相手から距離を取ってしまったのだから｡一先ず先程僅かに抱いてしまった邪な気持ちを取り払おうと小さく息を吐き出せば授業でも使用している教材を机の上に並べて行き｡鞄を拾い再び此方へ向かって来る相手に「ここ､座れよ」と己が腰掛けている隣の椅子に座る様にと指示を出し)

もー..しません! ―..あ､何処に渡しに行けばいい?
(冗談混じりの軽い忠告に小さく笑み零しながらも不服露にしては大丈夫だと云わんばかり｡それもその筈､折角相手に自分の手料理を振る舞えるチャンスである故に不安はあるものの意気込んでおり｡相手に逢えた嬉しさのあまりに此処に鞄を落とすのは毎回の事､相手に背を向ける状態で表情見えないのをいい事に先程距離離された事や何やら誤魔化された言葉に不安拭えず瞼伏せ鞄の持ち手握る手の力込め｡然しそんな顔を相手に見せる訳にもいかない､胸の蟠り掻き消すように数度小さく頭を振り駆け足で恋人の方へ戻り促されるがままに｢はーい｣能天気に返事をすると椅子に腰下ろし鞄から相手の専門である数学の教材を取り出しわからない問題に付けている付箋のページを開いて｢ここなんだけど..｣指差しつつ目線を隣の相手に送り｡)

冗談｡＿じゃあ､ここに持って来て貰ってもいいか?(次々と表情を変える相手はずっと眺めて居ても飽きる事は無いだろう｡小さく笑み零したと思えば次の瞬間には不服露している相手の頭にぽんと手置きわしゃわしゃと撫で｡なるべく人目に付かず接する事が出来､尚且つ関係を怪しまれない様にするには此処しか思い浮かばない｡と言うのも幸いな事に明日は相手のｸﾗｽで四限目に数学の授業が行われ終了次第昼食になる｡例え己と相手が此の教室まで行動を伴にしても､解らない問題を教えていたと説明すれば上手く誤魔化せると言う考えに辿り着いたからである｡相手の様子に何処と無く違和感感じ､暫し目で追ってみるが元気に返事を返されては一つの確信を得た｡嗚呼､己の先程の行いが相手をそうさせてしまっているんだと｡違うんだ､誤解を解かなければ｡さて其の為には何と言葉を掛けようか｡こんな時に限り思う様に働かない頭｡ふと相手から声が掛かればはっとした様に我に返り｡己から言い出した手前､今は目の前の事に集中しなければと気を持ち直すと「..ん､それは＿」解説交えながら問題を解く為に重要な鍵幾つか記して行き)

はーい｡..あ､じゃあ一緒に食べても､いい?
(頭部に触れる優しい手付きに小さく鼓動は高鳴り結んである髪が乱れるのも気にする事は無く｡子ども扱いである事は分かっていても自分のものよりも大きな相手の掌に撫でられるのは好きで自然と表情も緩んでしまう｡相手の授業がある日やその時間割等は殆ど頭に入っており､相手同様に昼前の授業が数学である事をふと思い出したのか名案を閃いたと云わんばかりの表情を相手に向け｡手料理の感想を放課後迄待つ事は恐らく出来ない､返答を窺うように僅かに首を傾けて｡己が話し掛ける迄何やら上の空の彼の姿に胸中は更に黒い靄がかかっていく､いつもなら見惚れて目線を外せなくなる端整な横顔も今日ばかりは見れず問題文へと視線を落とし｡さらさらと流れるように記されていく読み易い文字をぼんやりと見詰めているも相手の丁寧な説明は殆ど頭に入らず耳を通り抜けていく｡我に返ったのは彼が解説を終えた後､慌てて｢ご､御免..もっかい､お願いします｡｣聞いていた振りが出来ず謝罪述べると座り直し集中すべく姿勢を正して)

ああ、構わねぇよ｡(さらりと髪の乱れ直す様に一撫ですればそっと頭部から手を離し､相手の問いには軽く頷いてみせて｡教師として､そして相手の立場を護って遣らなければいけない身としては此の様に安易に答えを出してしまうのは矢張､軽率だっただろうか｡頭の片隅でそうは思って居ても今は相手の願いを優先して遣りたい､何より単純に己自身が相手と過ごす時間を大切にしたいと思う気持ちが日に日に大きくなって行くのだから仕方ない｡解説終えた後相手の口から出て来たのは謝罪の言葉と共にもう一度説明して欲しいと言う物で｡嗚呼､勉強に集中出来なくなる程相手を不安にさせてしまったのだろうか｡そうと分かればこうしては居られない､相手の要望とは裏腹に手に握っていたﾍﾟﾝを机に置き真剣な面持ちで相手の方へと体を向ければ「..さっきの事だよな?」お前が気にしてるのは＿微妙な空気に耐え切れなくなったのか此処は話し合う事で解決させようと決意すれば口を開き)

やったあ..! 一緒に食べるの､初めてですよね｡
(髪を梳くような手付きに心地好さげに双眸細めると内心断られるのではないかと考えていた事に対し了承得られ嬉々とした様子で表情綻ばせながら今から楽しみだと云わんばかり｡昼休み中､他の生徒達から人気のある相手の周囲には必ずと云って良い程誰かの姿があり昼食はおろか逢う事も難しいのだ｡教師と恋人関係にある事は隠さなければならず怪しまれる事も避けなければならないが､嬉しくて堪らない｡己の言葉に対し返答は無く､机にかたんとペンが置かれる音か響くと流石に怒らせてしまったかと僅かに眉尻を下げ再度謝罪述べようと唇開くも先に告げられるのは己の心を見透かしたような言葉で｡驚いたのか刹那硬直するも恐る恐る顔上げると｢..先生､｣小さく頷くと何処かと接していたいのか机の上にある相手の手の甲に指先を触れさせ)

そうだな､そんなに楽しみか?(言われてみれば相手と付き合い始めてから数ヶ月は経つと言う物の今迄放課後以外､二人きりになれる時間と言うのは無いに等しかった｡そうなれば相手のはしゃぎ様にも納得が出来､己もきっと何時もの仏頂面とは打って変わって穏やかな表情を浮かべているのだろう｡さて､問題は何かと理由を付けては己の目の前に現れる女生徒達をどうするかと言う事｡自分達の貴重な時間を邪魔される訳には行かない､明日迄に対処法を考えて置かなければと内心其んな事を思っており｡驚きを隠せないと言った様子で刹那硬直する相手が小さく頷いたのを確認すると己の手の甲に乗せられた指先絡め取り其の侭力強く手握れば少しでも相手の不安打ち消して遣ろうとして｡「悪い､さっきのは..違うんだ｡お前が嫌だから離れたとかそう言うんじゃなくてだな､」時折言葉に詰まりながらも己の気持ちを正直に述べて行く｡相手への愛しさ増して行くばかりに己の自制心利かなくなったと｡相手は一体どんな顔をするだろうか､軽蔑したに決まってる｡思わずは､と自嘲気味な笑み漏らして)

楽しみだよ｡ ちょっとの時間かもだけど､逢えるし..!
(相手の問い掛けには間を置かず即座に頷き答えると普段よりも何処か穏和な表情に胸の中がふわりと温かくなる感覚で､つられるように表情緩め｡今此の時相手と共にいるにも関わらず明日此処で昼食を取れるという喜びに浸りながら締まりの無い頬を軽く両掌で押さえ｡本来すべきである相手が考えている心配事等己の頭には皆無である｡触れられるだけで十分という控え目な思いは相手の手の力によって容易く打ち崩され､今度は離れないようにと手を握り返し｡重なった掌の大きさは全く異なり包まれるような温もりに先程の不安は少しずつ溶けていく｡途切れ途切れの相手の想いに安堵と共に何故か目頭が熱くなる､悲しいという感情は無いのに｡顔伏せると手を握る力を微弱ながらに込めながら此方に身体を向けている相手の肩に額を押しつけて｢..嬉しい､です｡知らなかった｡私ばっかり､って思ってた､..｣嘲るような笑み耳元に落ちると顔伏せた侭首を小さく横に振り､声震えないようにと心掛けながら思いの丈を告げて)

ん､いつも通り放課後も待っててやるから｡＿っ､おま..泣いてるのか?ばーか､誰が好きでもねｪ女と付き合うかよ｡(折角交わした約束も相手と己の関係が明るみに出ない様にする為には昼食を取り次第直ぐに相手を教室に帰すのが賢明な判断と言えるだろう｡其の為､一緒に過ごせる時間は限られて来るが其の分､放課後には何時も以上に甘やかして遣ろうと思い｡しっかりと手を握り返されれば己より小さく柔らかな相手の手､其此から伝わって来る体温に心地好さ感じていて｡突如､手握る力微弱に込められ己の肩に押し付ける様にして埋められたのは相手の額｡其の為､表情こそ見えないが次の相手の発言に己の邪な気持ちを受け止めてくれたのかと刹那驚愕するも理解示して貰えた事に安堵する｡言葉の端々に微かな震えを感じ取れば己にしては珍しく若干慌てた様に上記後半部分問い掛けるもどうやら其れが悲しみ故に流した物では無い様だと悟れば普段中々口にしない様な言葉も自然と溢していて)

ありがと､..っ泣いて､ないよ? だって､嬉しいんだし..｡
(一日の間に二回も相手と二人きりになる機会がある何て今迄では殆ど考えられなかった事であった｡何処か現実味を帯びない言葉に嬉しさ噛み締めるようにはにかみながら小さく頷いて｡逢える時間の長さと相手への想いは比例していない､そう思っていても好きだからこそ出来るだけ長い時間逢いたいのだ｡相手のｽｰﾂを涙で濡らさないように下唇を弱く噛み涙堪えるも普段聞かぬ相手の甘い言葉に切ないと感じる程に胸の奥は締め付けられる｡自分の一方通行な想いでも構わなかった筈なのに､何時の間にか相手から好かれたいと貪欲になっていた｡笑顔を見せなくては､そう思い相手の肩から顔を上げると潤む双眸であるものの精一杯の笑顔を向けて｢私も､先生の事大好き..!｣握り合っている手を己の胸元に移動させると猫が甘えるかのように相手の手の甲に頬をすり寄せて｡)

嘘付け｡ほら､我慢すんなって｡(お前の事なんてお見通しだと言わんばかりにじ､と見据えて｡何やら此んな時に迄必死に涙堪え自分の感情抑え様としているらしく｡我慢する必要なんてないのに､相手には様々な表情を見せて欲しいのだ､強さも弱さも全て引っくるめて想っているのだから｡暫くして泣き止んだのか顔を上げた相手に視線移すと其此には満面の笑顔と告げられた愛の言葉｡「知ってる」一言素っ気なくそう返したのは只の照れ隠し､きっと相手には其んな事も見抜かれて居るのだろう｡甘える様に己の手の甲に擦りついて来る相手の様子からすっかり何時もの調子に戻った事が窺える｡くす､と笑み零せば其の侭頬撫で)

う､..もー､違うの､悲しいとかじゃなくて､
(己の内なる感情だけで無く押し隠している気持ちすらも見透かしてしまいそうな黒い双眸に言葉詰まらせると図星故に困惑気に視線彷徨わせ言い訳思案するもそんな物思い浮かぶ程器用では無く｡観念したように頬に空気溜め小さく膨らませると顔伏せ拗ねたように上記ぽつりぽつりと告げながら目許辺りを手の甲で擦る｡恋人の前ではいつでも出来るだけ可愛い姿で居たいと思うのは恋する少女ならば必ず考える事だろう｡いつも通りの淡々とした返答､何時の間にか先程の居心地の悪さは無くお互いの気まずさは晴れ可笑しそうに小さく笑み溢す｡こんな何でもないやりとりが幸せで堪らない､己の頬撫でる手の甲に目許を緩めて｡ふと窓から見た空は徐々に濃紺へと色を変えており日が暮れかけている事を知らせている､未だ離れたくないとの思いは毎日の事だが別れる時の辛さは何か月経っても変わらず笑みを陰らせると瞼を伏せて｡)

はいはい｡＿もう､こんな時間か｡(恐らく図星だったのだろう､目の前には言葉詰まらせ困惑げに視線彷徨わせる相手｡漸く観念したのか頬に空気含ませながらもぽつりと言葉発して行く拗ねた様な相手に軽い調子で返事して遣れば膨らんだ頬押し潰す様に指先で突き｡本当､分かりやすい｡何時も馬鹿正直で嘘が付けない性格､其れが相手の長所で何より己が惹かれたきっかけだったと未だ己と相手が恋人と言う間柄ではなかった時､詰まり数ヶ月以上前の事を思い返しては反射的に柔和な笑み浮かべて｡暫し二人きりの空間に訪れる静寂､かと言って先程迄の何処か微妙な空気では無く何も言わずもがな触れ合って居るだけで通じ合える様な其んな感覚｡刹那､窓の外に視線移したと思えば浮かない表情の相手｡己も確認する様に其方眺め次いで手元の腕時計に目を遣れば相手の其の表情にも納得が出来る｡毎度の事ながら好きな相手と伴に過ごす時間は短く感じる物だ｡何時もなら此処で相手と別れるのだが「送ってく」そう告げた己は一体どうしてしまったのだろうか｡嗚呼､どうやら己が想っている以上に相手の事を想う気持ちは何倍も強くなっている様だ)