owner. 2013-07-07 21:04:24 |
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...久し振りね、此処。
(久し振りに訪れた彼の部屋。恐らく鍵がかかっていたであろう其の部屋の壁を、少し躊躇い乍、懐かしみ乍擦り抜ける。目に映るのはあの時と何も変わってない室内。辺りを見渡して、彼が帰って来ていない事を確認する。もう大分夜も遅いが、帰って来ていないという事はバイトだろう。―..それにしても変わって無さ過ぎる。小さく息を吐き出しふとベッドの方へ顔を向けては、其処だけを無表情にぼんやりと見詰めて、最近の事を頭に浮かべる。―..何時も通りに、アパートの外に出て散歩をしていた際に突然降ってきた雨。段々と増える雨量とは関係無く、全く濡れない自分の身体。雲に覆われた真っ黒な空を仰ぎ、ただ単純に、『 自分は此処に居るべきものじゃない 』と、ただそう漠然に思った。何故そんな事を思ったのかも分からない侭、アパートに帰らずにいて随分と時間が経った気がする。意味も無く消えた自分を、彼はどう思っているのか。まあ彼の事だ、きっと気にしたり等していないんだろう。ふ、と自嘲めいた笑みを零し...――そのままベッドに倒れた。ぼふん、という音も、ベッドが軋む音も、何もしなかった。当たり前か。横向きになり、玄関の方に身体を向ける。と、聞こえてきた、鍵の開けられる音。彼以外の人が此処に来るなんて無いだろうから、扉の開く前に一言。何時ものように嫌味ったらしく皮肉っぽく、聞こえるように呟いてみる。)
―...御帰り為さい無職。今日も遅くまでバイト、御疲れ様。
***
昨日の内に返そうと思ってたんだけど遅くなったわ。御免為さい。
あら、それは貴方にも言える事よね。私だけじゃなくて、貴方も、よ。褒めてるかどうかは別で。
其の位私にも分かるわよ、別に不満じゃないし。こっちの本体の相変わらずの駄文に付き合わせるのも癪だけどまあ取り敢えず..亦宜しくね、無職さん。
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