赤の女王 2025-10-01 02:40:23 |
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>ユリーシャ
………。(その語り口はまるで今日をどう過ごして来たかを教えるような、思い出を共に振り返るときのような想像しやすくて情景が目に浮かぶようなものだった。彼女の言葉が飾ることのない等身大の物だったから、そうだったからこそ斜に構えてしまう自身にも捻くれた捉え方としてではなく、その言葉を素直に受け止める事ができたのかもしれない。覗く表情の柔らかさ、目元の和らぎ、口元にふんわりと浮かぶ微笑み、その全てが陛下に対する敬愛を語るようで、たったそれだけの要素が一定の距離を保とうとする要塞のようなこの男の心を幾分か溶かして温めた。表情は無愛想なもの、変わらないが最後まで彼女の言葉を聞き終えた後に短く返す「そうか」という相槌の声はどこか親しみを持つような、ツンと冷たいものではなくて丸みを帯びた声色をしていて。それから何気ないように向く彼女からの問いかけには表情を変えないまま暫く沈黙を置き「何かしらの役割がなければ生きていけない。私は黒兎としての役割を、ディーとダムはトランプ兵の指揮とりを、トランプ兵は何かが起こる訳じゃなくとも緊急時のために備えて訓練を行う。それが彼らの役割だからだ」明確な答えはない。端的にまとめてしまうなら、それはそういうものだから。たったそれだけの内容を小難しい言い方にしてしまうのは性分であり悪癖か。彼女がダムの帽子を身に纏うからだろうか、少しだけ顔を寄せればくんと短く息を吸い、それがその男の目的なのかもしれないが指摘をするように告げて)あなた、それを被っていてはダムの匂いが染みつくぞ。
>ロメオ
────んがっ。あああああ、カラダいってえええ。(リビングの隅っこ、そこで死体の如く横たわり寝こけては今を迎えたらしい。高い所から落下をする夢でも見たのだろうガクッと体をびくつかせてから鼻が詰まるような声をあげて、それから大きくてギョロリとした二つの目が剥き出しになるように開かれて。バネが跳ねるような動きで横たわっていた体を起こすとガシガシと自身の頭部を掻きむしり、床の上で一晩を明かした弊害である体の軋みに嘆く声を大袈裟な独り言としてあげて。キッチンから感じる人の気配に誘われるように足先は自然と吸い寄せられて、そこにいる共に寝起きだろう彼の姿に最初こそ無表情のまま見つめてから今度は一転、大きく見開かれた目はそのままに笑顔を浮かべ「モーニンモオニン!!よおお、アリスう。何作ってんだ!俺も俺も。俺も腹ペコなんだよう」図々しく、馴れ馴れしく、彼がオーブンに触れていることから朝食の用意だろうと察して、そんな彼にそばにうろちょろと纏わりついて「なあなあ!ベーコン焼いたのと目玉焼き作ってくれよう。俺がやると手え震えてタマゴが綺麗に割れねーんだァ」ヒャヒャと笑いながら挙げるリクエストの姿は酔っ払いのだる絡みに似ている。寝起きとは到底思えないテンションの高さと、起き抜けであることが伺える少し掠れた声ではたと姿の見えないもう一人の同居人に気がついて、その姿が無いのをいいことに懐から紙煙草を取り出して)メリイ出かけてんだァ。こんな早くから元気だなあ、アリスもそー思うだろ
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