匿名さん 2025-09-07 22:09:43 |
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(ころん、と9番が落ちた音がして、次の瞬間には彼の声が弾けた。振り返った顔は、張り詰めていたものが一気にほどけて、子どもみたいにまっすぐで。胸の奥が、ひどく柔らかくなる。負けた悔しさより先に、嬉しさが来てしまうのが自分でも分かって、少しだけ笑ってしまった)
……やられましたね
(言葉だけは悔しがってみせるのに、表情は隠しきれない。掲げられた両手に、迷いなく自分の手を合わせる。ぱちん、と乾いた音がして、手のひらがじんと熱い。彼の笑顔の熱く眩しいこと。その笑顔に照らされていると、これまでの人生の中で蓄積した毒素が抜けていくように身体が軽くなる気がした。この若者の笑顔をもっと見ていたくなるような中毒性がある)
ふふ……しかし次のゲームは私も負けませんよ。湊くん
(そうしてビリヤードを再開する。今度は差を付けて勝つこともあれば、大事な局面で下手を打って負けることもあった。それでも時間を掛けて何度もプレーしていく中で着実に彼は上手くなり、それに呼応するかのように自分のプレーにも無駄がなくなっていった。そうして何度も勝負を続け、最終的な戦績が分からなくなった時、ふと気が付くと既に昼時を過ぎようとしていたところだった。プレーが落ち着いた所で、キューを置いて彼の方へ視線を遣る)
そろそろお腹空きませんか。近くに良い喫茶店があります。ナそこで少し遅めですが、お昼にしましょうか。
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