匿名さん 2025-09-07 22:09:43 |
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───そうですね、"仕事関係の人"とは良く行ったりしますよ、イタリアン。
(彼がグラスに口をつけたのを見て、自らもスパークリングワインに口をつける。爽やかな炭酸と共に口の中に華やかな風味が広がるのを愉しんでいると、不意に投げかけられた質問に一瞬また返事が遅れた。イタリアンはお洒落で尚且つ格式ばりすぎず、またメニュー数も豊富で苦手な食材がある人でも必ず何かしらは食べられるメニューがあるため、"仕事"で女性と共に食事を摂る時はよく重宝していることを思い出す。言葉を濁して返答をするものの、それと彼を同列に並べることは躊躇われた。彼をここに連れてきたかったのは、『とりあえず手頃』だからではなく、『ここのイタリアンプリンを食べて欲しい』という明確な理由に基づくものなのだが、それを上手く表現できず僅かに口ごもってしまう。──いつまでこんな誤魔化しを続けなければいけないのだろうか。彼に抱く好意は最早疑う余地の無いものであるものの、彼と出会うきっかけが"仕事"だったことは否めない。最早彼を騙すつもりは微塵も無いが、このまま秘密を抱えて彼と過ごして行って、万が一にでも彼にその秘密を握られることがあるとしたら?彼を深く傷つけてしまうことは容易に想像が着いた。それならば、早めの段階で彼にしっかりと事実を伝え、その事については謝罪を済ませた方が良い。未だ何も彼から情報を得ていないのは彼自身も恐らく理解してくれているだろうし、正直に自分から話せば彼も耳を傾けてくれるかもしれない。そんな、あまりにも浅はかな───甘い考えを抱きながらゆっくりと唇を開く)
……あの、悠さん、実は、俺………
(ちょうどその時、ウエイターがサラダとカプレーゼを運んできたため、言葉が途切れてしまった。そして、同時に思い至る───自分から打ち明けたから、何だ?そもそもそんな仕事をしていたという事実だけで彼にとっては許容出来ない存在になる可能性が高い。彼が思い浮かべている宮村湊の人間像と、本物の自分の乖離を彼が知れば、もう二度と会って貰えないかもしれない。そんなことは耐えられない。開きかけていた唇をそっと閉じて、無言で小皿にサラダを取り分けていく。やはり彼に打ち明けるべきではない。そう判断してにっこりと笑顔を浮かべると綺麗に盛り付けたサラダを何事も無かったかのように彼へと差し出した)
はい、どうぞ。美味しそうですね!
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