執事 2025-08-06 23:25:05 |
|
通報 |
(貴方と話す事が出来なくなると暫く手持ち無沙汰に貴方の眠る様子を眺めていたが、ようやく積まれた本の1冊に手を伸ばしてはページをめくり始める。心地良いそよ風の音と紙の擦れる音、そして貴方の寝息だけが自分の耳に届く中、すんなりと入ってくる本の内容にまた目を細めて。その中の一文は“自分はどれだけ貴方と居られるかわからない。神童と呼ばれたあの日から、それだけが解らない事が不可解でならないのだ“という文で、ふとページを捲る手を止める。この世には様々な出会いがあり、その後の付き合いが長いものであっても短いものであっても、互いにとって良いものであっても悪いものであったとしてもそれがかけがえの無いものである事に代わりはないのだ、と言われている気がして少し目頭が熱くなる。思えば今目の前にいるお嬢様と出会ったのは自分が執事になって間も無い頃で、年端もいかない少女からすれば執事といえど歳の離れた男性に身の回りの世話をされるなんて余り良いものでは無かっただろうに、彼女は本当に自分に良くしてくれた。だからこそ2人の時間は自分にとってかけがえの無いものであり、これからも大切にして行きたいと思えるもので。安らかに眠っている貴方の髪の毛を優しく、すく様に撫でてはまた本のページに目を落として)
| トピック検索 |