匿名さん 2024-12-07 14:41:27 |
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……本当に、おかしな男だ。( 如何な風聞も、身分や種族の差も、天の運命などもっと関係ないと言わんばかりの戯言が妙に心を騒がせる / ゆっくりと互いの距離が詰まり、金の鱗粉をはたいたような神々しい双眸が真っ直ぐにこちらへ / それは皮肉にも、己の手から陸へ逃れたあの日の少女を想起させる清らかさと愚直さで、今度こそ直視を逃れ得ずに / ずっと目を逸らし続けて腹底へ沈殿した汚泥すら、遂にはその光の下に引き摺り出され──自覚する / 「──僕は、貴方が嫌いだ。その誰人を惹きつける眩さが憎く、疎ましく……ひどく妬ましい」 / ローブに触れた手首を力強く捕らえると同時、確りと正面から瞳を交じわせ。直後にはザアァ、と自身の膨らむ感情に呼応し、海面へ巨大な波が渦を巻いて凄絶にうねり上がり / けれど、青白い月光を背に、ローブの狭間から微かに覗いた微笑は何処か吹っ切れたような、冷えた胸に確かな闘志を宿したようなそれで / すんなりと握った手首を解放してやれば、背後の海の怒りも泡沫の如く霧散 / 相手の誘い自体には結局是とも否とも返さぬまま、海へと足を向けて放った呆れ混じりの別れ文句は、分かりにくくも一定の親愛らしきものを仄かに灯らせていて )……そんな悪しき魔女を招くなんて、死にたがりは貴方の方だろう──アレックス。
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