匿名さん 2024-12-07 14:41:27 |
|
通報 |
( ふと、海へと向けられた双眸は軽やかな口振りに相反し、何処か遠く、奥底に深慮を湛えた切なげなもの / ……軽薄げな見目と風聞通りの中身であれば楽だったものを、ほとほとこちらの調子を狂わせてくる男だ / 本来なら相手の要求が満たされた今、ここに留まる理由などない。それでも未だ両の足を陸に縫い止められているのは、人助けを生業とする魔法使いとしての性か。あるいは、かつて自らが〝運命〟のもと導いてきた者達と同じ尊い輝きを、相手の中にも視たからか / きっと俗世では軽妙に響くだろう誘いを受けるも、口下手な己から巧みな返しが発される筈もなく。面白味のない否を端的に告げ、ローブを深く被り直し / あの少女に告げた、運命の終結はいよいよ近い / どうかその明朗な声で、暖かな陽を宿す眼差しで、一切の悪気などない無慈悲さで──早く彼女を泡にしてくれと、思えなくなったのは何時からだ )……舞踏会も近いと聞く。貴方の誘うべき運命は、他にいるだろう。
| トピック検索 |