トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
|
通報 |
>920
あっ!違っ、待っ……!……ああ、嫌われたかな……
……アリシア、俺の正義……俺を心から愛してくれたお前を救う手立て、さっぱり思いつかない。これ以上魔道に堕ちる前に、剣をもってお前を哀れな人生から解放してやることしか……
(レドは勇者様が自分以上にウブだとは知らない。話を聞くなり急に慌てて部屋から出ていくレイラに手を伸ばして引き留めようとして。ああ、軽薄な男だと嫌われたか……レイラが想像しているであろう共寝などはしていないが、それに等しい事をしでかした以上申し開きは無意味だ。彼女に去られると膝から崩れ落ち、まるで母親に置き去りにされた子供のようにしょんぼりとして。
一人きりになると、床に膝をついたままマグカップに口をつけて。口の中にミルクの味が広がるたび、アリシアへの想いが強くなり、そして空しくなる。アリシアが本当に悪魔に憑かれているから何だというのか……悪魔を祓う手段が無い以上、もう彼女を討つしか無いように見える。テーブルに薄汚い上半身を突っ伏すと、逃れ得ぬ運命に抗えない無力さに涙して。レドの他に誰もいない応接室とその外に、青年のすすり泣きが響き。)
ううっ……俺は弱すぎる。人としても、剣士としても……
| トピック検索 |