アスティ 2024-06-05 12:58:40 |
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天使など皆、二面性を持つ獣だ……。この地『エルマナ』はな、かつて天使を崇拝していた土地だ。俺たちは物心がつく頃からずっと来る日も来る日も奴らに感謝の祈りを捧げ、生きてきたのだ……天使こそが世に調和と安寧を齎す聖なる存在であると、そう信じて疑わなかった……!だが、その結果がこのザマだ……!堕ちた同胞が地上で何をしようが奴らは素知らぬふり、それが邪悪以外のなんだというのだ!?……故に奴らは等しく罰を受けるべきなのだ
(天使全てが悪ではない、憎むべき仇は別にいるのだから天界そのものを堕とすのは筋違いである……相手の言い分を最後まで聞いた上で、改めてこの土地がどういった場所であったのかを語るアルバスの投げかけた視線の先の古びた教会、割れたステンドグラスに描かれるのは辛うじて天使モチーフのものであるのがわかり、かつての信仰こそが天使そのものへの憎悪に繋がっている事を示していて)
憎むことでしか救われない思いはある。ならば憎めばいい、誰かに遠慮することはない。お前にはその資格がある……だが、憎むばかりでは自分を毒するだけだ。それを然るべき相手に受け止めて貰わねばならない。そうして世の中の痛みは正しく循環していくべきなのだ。さもなくば……報われない魂が生まれ……それはやがて、亡霊となり己を苛み続けるだろう……お前にも身に覚えがあるのではないのか?
(先程までの狂気的な振る舞いから一転、まるで聖職者が信者へと教えを説き、導くように口にする。相手が砂漠で見た過去の呪いにも似た記憶を体現した何か、あの夜のことまでは流石にアルバスも知り得ないようだがそれでもそれに近しい経験をしたことがある、そんなことを匂わせるようにそう語りかけては、ソリスの元へと歩み寄る)
ソリス、そいつをこっちに寄越せ……なんだ、その目は……道具のくせに言うことを聞けないのか?
『……承知いたしましたマスター……』
(アルバスはソリスの前に立つと、彼女の抱えているアスティをこちらへ受け渡すよう命令する。伏せていた顔を上げアルバスを見やるソリスは悲しみか罪悪感か、はたまたその両方の感情が綯交ぜになったような瞳を一瞬揺らがせ、僅かばかりの沈黙……しかし、最後にはその命令を聞き入れたソリスはアルバスの両腕にアスティを委ねて)
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