カムパネルラ 2024-01-31 16:56:51 |
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>オーブリー
───なら、次の夜に他のカムパネルラと乗り合わせたらオーブリーだって名前を伝えろョ、カムパネルラ全員に一枚ずつ絵葉書を預けとく。……そうすりゃ俺とお前の夜が巡り合わなくてもお前は俺のことを頭のどっかに残すだろ。( 己が好む事を見たいと前向きに捉えてくれた彼に不自然な沈黙を数秒だけ作り、それからわずか数ミリ広角が持ち上がり隠す事ができずに勝手に笑ってしまう口元を披露して。共に過ごしたこの時間が終わる事を惜しむように、彼の気持ちを少しでもこの夜に縛るような強気の発言を口にする。そんな眼差しは穏やかな夜を照らす月色とは遠退いた底の無い闇夜の世界に彼の事を引っ張り寄せるような奇しくも悪戯心を含んだ甘い瞳をしていて。──楽しい事、好きな事、それらを尋ねかけていたはずが彼の浮かべる表情には緊張感が漂っている。伝えるべきか黙するべきかを葛藤する雰囲気に気がつくと大きな勇気を連れた発言にどうしたって興味が湧いて耳を澄ませることとなり。一体どんな事を言うのだろうかと膨らむ期待値は肩透かしを喰らうほど健全で彼に相応しいものだった。情熱を無くした、そう告げる彼の声に探るように二つの目が光る。「 色男の人生を懸けたピアノ演奏かア。俺も聞きたかったなぁ。 」ポツリと独り言が落ちるのは色々考えた末の本心で、交わらない視線を取り戻すために名前を呼びかけてから己の頬を指先でぽりと掻いてから気持ちを伝えて )オーブリー、……俺は今すげー悔しい。お前がピアノを弾く姿が見れないのも、お前の指が弾く音を聞けないのも。残念だなア
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