カムパネルラ 2024-01-31 16:56:51 |
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>ルカ
………なるほど。やはりあなたは頭が回る。(静けさの中、わずかに唇を緩めたその声音は、あくまで平坦。だがその裏で、確かな評価がひとつ、息を潜めるように立ち上がる。それは素直に彼の選ぶ答えが正しいものであることと、持つ聡明さに感心するそんな様子で「その慎重さと疑い深さ……大方のジョバンニが喪っている要素だ。自分の目で状況を確かめ、自分の頭で答えを探す。あなたにはその姿勢がある。早口に命乞いをする者より、黙して疑い、観察し、考えを巡らせるあなたの方が──遥かに、長く生き残るだろう。」眼鏡の奥、赤い瞳が淡く細められる。剣のような直線的な理屈を用いながらも、その切先は穏やかに研がれており、必要以上に血を求めはしない。す、と鋭い目を彼へ真っ直ぐに向けながら改めた紹介を並べて「私の名は“海蛇”。正確には、カムパネルラと呼ばれる存在のひとつ。役割はただ一つ、ジョバンニ──あなたのように、この夜に呼ばれた旅人へ“選択肢”を提示すること。」淡々と語る間も、指先で一つの菓子を弄びながら、視線だけは一度も彼から外さない。摘んだそれを再度口に放り込み大きな一口として楽しんでから再度口を開き「この汽車の性質上、あなたが何処で降りるか、それが最も重要だ。そしてそれを誤った時、その先がどんな道に続いているかを、私は知らない。知りたいとも思わない。」ことさら冷酷に響く言葉。それでも海蛇座の声には、どこかその残酷さを受け容れた者だけが持つ、静かな慈悲が見えた。「だが、あなたには選べる資格がある。だから私は語る。……それだけの話だ。今夜、あなたに宛がわれたカムパネルラはこの“海蛇”一人。ほかの者に会うことはない。つまり──あなたが私と語るうちに見極めねばならない。“どこへ降り、どこへ向かうべきか”を。」わざとらしくもなく、かといって軽くもなく。言葉のひとつひとつは小石を積むように整っており、余白のある沈黙さえ意図の内に含まれていた。フフ、と息を漏らすように笑えば満足するように最後、その声を添えて)頂いた物を目の前で全て平らげるのはマナー違反に当たるか?それ程までに美味しい、センスのある菓子だ。
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