( 内側が柔らかく溶けていくような、美しいもの。
かくも煌めくものだったか。 )
『 全て解けて祈りを纏った
花弁になって祝福に変わる
たとえ手のひらをすり抜けようとも
世界を彩れるなら 』
( 目から鱗。頭で理解しつつも響かなかった物に、心を揺さぶられている. )
( 誰かの起点も同じだったのかもしれない。どっちに転ぶかは分からないけれど、本当はとうに飽き飽きしていた。 )
「 再び目を開く時が、
ちっぽけでも僕のリスタート 」
『 御為倒かしの懲罰も
これ見よがしな憐憫も
はらりひらりと透明に 』
(分からないまま曖昧なままでも。走り疲れたなら足を止めて。)
(永遠の春をうっすらと望んでいたはずが、六月の訪れに仄かな癒しを見出しているような気がする。一面の紫陽花への憧憬。)
(もう進まなくていいんだよと声が聞こえた。袖を掴まれた。あの頃の私であり僕だった。)
( 微睡の中でただそれに触れた。抱きしめることを初めて許した気がする。 )
( いつかまた、何処かで会えたらなら。そんなささやかな祈りを誂えて。 )
( 夜を望み。沈むような頭痛の後に見た朝の柔らかさ。 視界が揺らいでは僅かに澄んだ。 )
( それが牙を剥かなくなった時、胸の内に多少の安堵が広がった。もう少しだろうか。 )
『 わたしが壊れてるなら、
この世界はもっと可笑しいわ! 』
「 嗚呼馬鹿みたいと笑い飛ばしたあの子の姿
捉えたいのに、霞んだまま
なのに、眩しかった 」
( 良かった。束の間の安堵を覚えた。僕らはずっと此方側で、なんて、思うほどに。)
( 神様はわらっていた。ただひとりで、天から笑っていた。 )
( 大衆を騙し抜いて。悪戯っ子のような笑顔で。 )
( 罪人の印をなぞる。結局のところ、真偽など誰も見ていなかったのだ。)
「 世界がどれだけ醜かろうと、
澄み切ったそれを忘れないでよ 」