スレ主 2023-12-10 17:44:55 ID:896f7f474 |
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しずんでゆく
沈んでゆく
沈んでゆく
沈んでゆく。
沈んで…
…
…
…
?ここは何処だろうか
叫ぶ。
何も聞こえない。自分の声さえも。少なくとも、俺は?
?待て。何か聞こえたか?
誰か、そこにいるのか?
いや、目で見通せる限り、果てしない白の虚無だけだ。海のようだ。
或いは砂漠か。質感も無ければ音も無く、自分の心臓が実直にドクドク脈打つ音も聞こえやしない。俺は手を見ようとする ? 見えないし、感じもしない。まるでそこに存在しないように。目を閉じようとするが、まだ白が見えている。
あのスポンジの化け物共に食べ掛けの骨付きハム宜しく千切られた腕は元通り
同じく引き裂かれ好き放題に引き伸ばされ、圧し折られ、噛み砕かれ、臓物その他を引き摺り出され貪られていたであろう胸部から腹部に掛けての傷口…というより死体損壊めいた穴も無くなっている
―これが全て出来の悪い“夢”であるのなら、アリゾナの安アパートでボロボロのソファに座って安っぽいテーブルに粗悪品のムーンシャイン(密造酒)の入ったグラスを片手に突っ伏している筈だが
忌々しい合成繊維製のオレンジの囚人服――例に寄ってシェルターめいた(財団)のロゴと、6桁の管理番号がプリントされた其れだ。
―――再び猛烈な――雪山の遭難者めいた低体温症に類似した急激な眠気を憶え始める。
耐えられずにその場で膝をついて――朦朧とする意識の狭間で声を聞く。
―どうしてこういう終わりが実現しないか知ってるかい?―
聞き覚えの無い老婆の声がそんな言葉を紡ぎ
―終わりだからこそ実現しないんだよ。終わるっていうのは、止まることだからね。あたしらの苦しみが止まることはあってはならない。生の苦しみは永遠でなけりゃならない…少なくとも“此処”が求める限りはねぇ―
―“意思”なんてモノなど欠片も無かった実験的な“世界”の模造品…は観測と取り込みを繰り返して膨らみ続ける…利用しようとした連中すら飲み込んで、行き着く先が如何なるかなんて誰にも分かりゃしないよ……一つだけ言えるのは“原因”は変動し続けてる。―
―其処に付け込んで顕れ続けるのさ、其れが憎悪であれ未練であれ願望であれ後悔であれ…単なる思い出であれ―
―――
―
―
――
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>>路地裏ALL
【路地裏/梓家始季】
―相も変わらず立ち込める濃い霧と赤黒く薄っすらと大気を染める不気味な空色――放棄されて随分と時間の経った様子の入り組んだ路地裏…旧式の既に機能していないらしき室外機。
埃っぽい塵芥や年代物の空き瓶や錆付いたスチール缶の入った色落ちしたポリバケツ。
狭まったり、時折広がったりの都市計画的には乱雑極まり無いそんな路を、霧を掻き分けながら進む人影。
コツ コツ コツ
軍用編上靴の固めの足音と共に霧に混じり舞い上がる埃も露と気にする様子も無く、物騒な出で立ちの東洋人の女は感情を押し殺した様な仏頂面のまま、手にしたゴテゴテに改修された中国ノリンコ製のAKコピー(56-2式)を標準射撃姿勢で構えながら黙々と進む。
行き先など、当の本人しか知らぬままに
>>南部住宅地ALL
【移動中→南部住宅地(路上)/シャーリーズ・フルウールト(ストライカー着装)】
――
―
キィイイイイイイイイイン!(レッグローラーの走行音)
シャーリーズ≪無線※オープンチャンネルで呼び掛けています、此方C.M.S.C、第三陸戦ウィッチ中隊、第二小隊C分隊のシャーリーズ、誰か聴こえていたら応答してください。繰り返します。≫
霧に包まれた途切れ途切れの幹線道路を時速50kmほどで駆け抜けながら、装甲機械化歩兵脚(陸戦ストライカーユニット)を着装し無線でこの周辺へ必死に呼び掛けている戦闘服姿にブーニーハット、それに何故かネコ科の肉食動物の耳と尻尾を生やした一人の少女、シャーリーズ・フルウールト准尉は奇妙な消耗感とこの得体の知れない土地の不気味さと精神的に戦いながら――
―同時に感じる、身に憶えのない(即視感)にも内心苛まれていた。
>>墓地ALL
【墓地/エディ・ドンブラウスキー、???×多数】
ハァッハァッハァッハァッ…ゼェゼェ
全力疾走して来た様な苦しげな息遣いとやや重苦しい足音と共に少し歩いたあとどうにか息を整えているらしい。トラッカー帽を逆被りにした青と白のストライプのシャツにズボンという井出立ちの小太りの青い双眸の青年(エディ)
エディ「ゼェゼェ…此処は――墓地?」
霧の立ち込める何の変哲も無い西洋風の墓地群――違和感を強いて言うなら開けた屋外である筈なのにやたらと黴の臭いが強く感じる点だろう。
それに立ち込め続ける濃い(霧)
トン トン トン トン トン トン トン トン トン トン トン(単調な手打ち太鼓の音)
何処からともなく聞こえて来る音。
和太鼓やドラムの類では無く、アフリカや中米辺りの素朴な手打ちの太鼓の単調な音色、場所や状況が許せばエキゾチックな風情もあるかもしれないがこの異常な状況下では不気味さや不吉さ以外のモノを感じられないだろう。
何処から鳴っているかも分からないが――それに併せるように墓場に変化が起き始める。
ボゴッ
ズルズルズル…
エディ「あ…わ…が…」
――解っていた、少なくとも…コレが肉を伴う(現実)であろう事を――しかし青年(エディ)のなけなしの理性は自己防衛の為に――起き上がってきた(ソレら)を認識する事を拒む。
その場に尻餅をつく形で腰が抜けてしまった小太りの青年(エディ)の周囲からゆっくりと、墓場から起き上がる(腐乱死体)の群れが徐々に歩み寄り始めていた。
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