名無しさん 2023-10-18 21:42:16 |
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>>185様
「そ、そうですね。確かに目立っちゃいましたし……そろそろ行きましょうか」
女性の提案はまさに渡りに船だった。先程は引っ掻くことによる痛みと、ハンカチに付着した血液のほんの少し漂う香りで音と臭いを軽減したが、所詮は一時凌ぎに過ぎない。このまま放っておけばいずれ音と臭いが強くなってしまうだろう。そうなればまた自傷行為で凌ぐしかなくなるし、それにあの音と臭いが邪魔したせいで、今日はもう女性との一時を純粋に楽しめるとは思えなかった。
オレンジジュースの残りを一気に飲み干して、音が立たないようにゆっくりとテーブルに置いてから立ち上がった。トートバッグの中がちゃんとあるかも確認して、今度は手で持つのではなく腕にかけた。一応血は拭ったとはいえ、万が一プレゼントを汚すことなどあってはならないから。
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