+' 　死屍累々アリスゲーム 　'+【 特殊バトロワ / 3L 】

◆　“アリス”とは？　◆

幼少期、青年期、あるいは昨日にでも大火事に遭い、自身は生還したものの炎に巻かれて［大切なもの］を失った人間。
［大切なもの］とは家族、友人、伴侶、恋人、ペット、もしくは思い出の品や形見等、燃えるものであればなんでも該当する。
少なからず精神を病んだ可哀想な人間は、いつしか“不思議の国の住人”の囁く幻聴に苛まれる。
おいで、おいでと昼夜問わず誘う声にとうとう根負けし、ついに招待を受け入れた瞬間、あなたは“××アリス”として不思議の国へ召喚される。
アリスは決まって左目にハート、クラブ、スペード、ダイヤのいずれか一つの模様が刻まれている。


◆　不思議の国とその住人とは？　◆

暗雲立ち込める空、枯れた薔薇園、赤く染まった湖、廃墟と化した遊園地――殺風景な焦土こそがまさに不思議の国である。
そこら中に剣や槍などの手持ち武器が無数の墓標のように地面に突き刺さっており、それは“アリス”の得物として大地より引き抜かれる時を待つ。
不思議の国には“アリス”と“住人”のみが存在する。
住人は個性豊かな面々で固有の能力を持ち、自らが不思議の国へ誘惑したアリスに対する“案内人”となり、自分の固有能力を授け、“アリスゲーム”の説明をする。
案内人はアリスにとって最も敵と遠い存在であり、求めればアドバイスをくれたりくれなかったり、一緒に行動してくれたりくれなかったりする。
この国では戦わないことは許されず、全ての住人は「好意や恋心を敵意や戦意に変える魔法」を行使できる。
かつて許されないことでありながら、あろうことかアリスに恋心を抱いてしまった住人もいるとか。


◆　アリスゲームとは？　◆

アリスによるアリス同士の殺し合いのこと。
いずれかのアリスが最後の生き残りになったらゲームオーバー。
最強のアリスは“王様アリス”の称号を獲得し、その褒賞として火事でなくした［大切なもの］を何の欠損もない状態で蘇らせる事ができる。
そして死物狂いで手にした“王様アリス”の称号を謹んで返還することで、元いた世界に［大切なもの］と一緒に帰る事ができる。
そうして、持ち主のいなくなった最強の称号に相応しいアリスをまた選ぶため、ゲームは繰り返される。

――ただし、［大切なもの］が大切であるほど、アリスゲームは終わらない。
アリスが死亡した時、“玉座の間”にて目を覚ます。あなたはそこで“女王”に謁見し、ある選択を強いられる。
アリスゲームへの敗者復活か、［大切なもの］を未来永劫諦めるか。

もしあなたが“アリスゲームへの敗者復活”を選ぶなら、“違うアリス”として不思議の国のどこかでまた目を覚ます。
“前のアリス”の記憶は引き継げない。が、自分を殺した“××アリス”のことだけは本能的に判別できる。

死んだアリスは［大切なもの］に後ろ髪引かれ、また戦いを選ぶ。もしくは戦いのなか心通わせた別のアリスとの邂逅という叶わぬ夢を見て、また戦いを選ぶ。
ゆえに振り返れば無数のアリスが死屍累々、これは終わらないゲームである。


∥∥ レス禁 ∥∥