教祖 2023-08-06 19:34:26 |
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…ええ、本当は…
(促されるままに馬車に乗せられた後は青痣の目立つ膝に手を乗せ、行儀良く背筋を伸ばして座ってこそいるものの落ち着かない様子で馬車の中に視線を泳がせつつ、言葉少なに答える。一瞬だけ眼の前の"主人"の髪色に驚いたような視線を投げるが、すぐに自身の膝の上へと再び視線を落とした。─机の上に置かれている、甘味であろうと思われる硝子入りの物品にも手を出す気になれずに、無意識に弟の手を強く握った。弟のぬくもりが左手越しに伝わって来る感覚に、知らぬ間に張り詰めていたらしい糸が解けるような気がした─その後暫くの間は馬車に揺らされるがまま、自らの膝の上を見つめたままの状態で口を噤んでいたが、やがて主人の反応を伺うようにしながら口を開いて)
…何故、僕をお買いに…なられたんですか。
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