教祖 2023-08-06 19:34:26 |
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うん、そうだ。" 二人目 "のね。
( 此方へと寄せられる視線の柔らかさは内実に確かな芯を感じさせるもので、温和な灯火の双眸に曇天の空が反射する。素直に此方を見上げる様子へ肯定と補足を手短に告げると、引き寄せた肩の手を解き、代わりに楚腰へ手を廻してエスコートの姿勢を取った。導く先は街路にて待たせていた二頭立ての馬車。幌に覆われた内部は薄暗く、代わりに外界からの視線をすべて遮ってくれる代物である。内部に敷かれた革張りに腰を落ち着けて、彼が向かいに座るのを待つ。馬車内に張り巡らされた内装は薄赤を基調とした空闊。椅子を向かいとして挟んだ中央は硝子に入った猪口冷糖が三粒四粒と机上に置かれており、遠慮なく一つを摘み上げては口の中に転がして。やんやと騒がしい外には構わず、暮れを待つ陽に目を細めて安穏に息を吐く。遠からず夜帳に隠される街路を良いことに、着用した帽子を片手に取り白金の髪を表出させた後、相好を崩し改めて彼への視線を。今しがたの言に多くを語らないまま口火を切って )
ああ、やっと落ち着けた。騒がしいのはあまり好きじゃないんだ。……見た所お前もそうだろう?
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