29340 2023-08-01 10:16:20 |
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【 春原 美月 】
……不思議なお兄さん。
( 彼のお陰で無事に家へと辿りつき、軽くシャワーを浴びてベッドに飛び込んだあとも考えてしまうのはあの美しい夜のような、蛇のような雰囲気を持つ人のこと。なぜあんな山奥の神社に住んでいるのか、1人で住んでいるのか、─── …寂しくは、ないのか。そんな疑問をぐるぐると頭の中で混ぜ込んでいればいつの間にか美月の意識は深い眠りの海へ落ちていき、また明日も会いに行こうなんてぼんやりと頭の奥で決意しながらそのまま意識がプツンと途切れ。 )
【 藤宮 花名 】
、─── …。
( 何もかもが、〝本物〟だった。素人目からでも高級な海外の家具だと判る本革張りのソファやテーブル、雑居ビル内のテナントではおおよそ見たことの無い黒檀の暖炉。それから医学を齧っている自分ですら内容の理解に時間のかかりそうな専門書たち。花名は思わずその室内の雰囲気に息が止まれば、慣れた様子で部屋の奥に鎮座する本革張りのチェアに腰をかける姿はここがいつもの〝彼〟の定位置なのだろうとハッキリと此方が分かるほどに様になっており、本当に此処がロンドンなのではないかと錯覚してしまうほどだ。「 ……あの、もし仮にわたしが貴方の助手だとして。貴方が私に求めることはなんでしょう……? 」ぽろり、と室内を眺めていた間に零れた質問に自分でも驚いたのか、花名パッと慌てて口元を抑えては、「私はワトソンさん?ではないですけれど!」 と付け足して。 )
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