29340 2023-08-01 10:16:20 |
通報 |
(榊)
─ここに棲まわせて貰っている。
(白蛇を肩から下ろし、彼は眼の前の少女を安心させるように柔らかく微笑んだ。ざわざわと木々が騒めき、彼の棲まいである、古びている上に所々崩れかかった本殿が生い茂った雑草の隙間から覗く。そこまで喋ったところでまた空を見上げ、すっかり夜の闇に包まれた空から少女に視線を戻した。「─もう夜更けだ。お嬢さんに夜道は危ないだろう、麓まで送っていこうか」と白く華奢な手を彼女に差し出して)
(ジュリア)
…キミ、自分の名前も忘れたのかい?ジョン・H・ワトソン君。キミはボク─?シャーロック・ホームズ”の心強き相棒で、助手じゃないか。
(貴女が自分の手を引きながら急に走り出したことで『彼』は少々驚いたようだったが、やがて路地裏に到着すると腕組みをしながらそう口に出す。『彼』の目にはどうやら貴女がワトソン─アフガニスタン帰りの医学博士にでも見えているようで、言動を撤回する気もないらしい)
トピック検索 |