29340 2023-08-01 10:16:20 |
通報 |
【 春原 美月 】
へび、……。
( 彼が首を傾げればはらりと零れた美しい其の髪すらも1つの絵画のようで、ただ首を傾げただけなのに目を奪われてしまうほどの美しさ。美月はそれにぽけ、と見蕩れていたもののふと彼の体を這う彼と同じ白蛇にぱちぱちと瞬きをしてはまるで兄弟家族のように仲つむまじいその様子にぽつりと単語をこぼして。道端で見る蛇は怖いけれど、この白蛇はどこか神々しくて特別に綺麗に見える。神様みたいに美しい彼と蛇の戯れはとても綺麗なのに、其れが逆にこの寂れて人の手の入っていない神社とのアンバランスさが際立つ。そわり、と少しだけ背筋が粟立つ感覚がすれば、先程の自分の質問と彼の答えのちぐさぐさにふと気付けば「 お兄さんは……参拝…ですか…? 」と、彼が神主でもなければそれでは参拝客なのだろうかと仮説を立ててはだれ?と不安そうに揺れる瞳で彼の瞳を見上げて。 )
【 藤宮 花名 】
だから私は、─── ッ、嗚呼もう!
( ワトソンじゃない、そう言いかけた途端花名の耳に届いたのは『通報』の2文字。30年間生きてきた中でお巡りさんのお世話になったことは無いし職質だって受けたことないのに!とヒュッと花名の喉が鳴れば先程まで抵抗するようにしていた手を逆にぎゅ!と握り目の前の麗人の手を引くように走り出して。少しでも人目の付かないところに、と暫くぱたぱた走ってたどり着いたのは少し薄暗い路地裏。普段こんな突然運動なんてしないせいかぜぇ、と息を吐いた後に「 な、何なんですか貴女…!大体わとそん?って何ですか…! 」と艶やかな黒髪が乱れたのもそのままにとん、とビル壁に背中を預けて呼吸を整えて。 )
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