29340 2023-08-01 10:16:20 |
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(榊)
─この神社の主は、もう居ないからね。
(眼の前の少女から飛び出した、『ふぃーるどわーく』なる慣れない単語にゆっくりと首を傾げた拍子に肩に掛かっていた髪が一房はらりと溢れ、彼の神秘的かつ不気味な雰囲気を一層濃くしているようであった。彼女と話をしている間に身体を這い上がってきた白蛇の頭を愛おしげに指先で撫で、所々剥がれてゴミの散乱する石畳や鳥居に物憂げな視線を投げる。朱色が剥げて木目の露出している鳥居の上に掛かっている、神社名が書かれていたであろう金色の板は無理矢理持ち去ったように欠損しており)
(ジュリア)
何を言っているんだい、ワトソン君?キミはワトソン君じゃないか。
(寧ろ眼の前の彼女がおかしい、と言わんばかりに『彼』は怪訝な表情を浮かべてはもう一度彼女の手を掴む。遂に「あれヤバくない?」「通報した方が…」などと通行人が囁き始めたが、『彼』の耳には入らないようで相変わらず貴女の手を掴んだままどこか─『彼』の言うところの事務所へ帰ろうとしているようで)
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