草紙 2023-07-25 19:05:42 |
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>52 異割様
だ、誰…!?
(何やら障子一枚隔てた向こう側では、内容までは聞き取れないものの会話が為されている様子。早く戻ってきて欲しいという願いも虚しく、代わりに頭上から物音がすると髪を撫で付けていた手を止め直ぐ様天板を見上げ。姿形は見えぬというのに、正体不明の快活な声だけが大きく響く。小さく零した言葉尻は恐怖からか微かに震えているが、見据える双眸は敵対心を抱いていると錯覚するほど鋭いもの。空間に似つかない呑気な声音から危害を加えようとする意思は見受けられず、されど警戒するに越したことはない、そう自身に言い聞かせると逸らすことなく上を睨め続け。そして性急に降ってきた問、正確にはその問の「捨て子」という単語に妙な引っ掛かりを覚える。捨て子とは一体どういう意味か、何を指し示しているのか。彼の言葉の意味するところを上手く掴むことができぬまま率直に事実のみを返し。)
どの捨て子…?……私が此処で出会ったのは、…金色の髪に象牙色の色留袖を着ている、背丈の大きい方よ。
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