草紙 2023-07-25 19:05:42 |
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▼ 一条文子 様(>>49)
オレがいないと、誰か入ってくるかもしれないから。別にお前に何かしようとしたわけじゃない。……でも、
(湯呑みが無事に受け取られれば文机に頬杖を付き、ややあって告げられた問にはどこか決まり悪げな返答を。逸らされた瞳は瞼に覆われ、続けざまの言葉は言い訳じみた響きを持って。自身の失態に気づいてか取り繕おうとした言葉はしかし言葉に出すことは叶わなかった。頼りなげな襖の向こうからカタリと板張りの廊下が軋む音、何かが徘徊する音とともに視線はそちらに吸い寄せられて。「……どれが、起きたんだろう。」腰を浮かせて彼女をちらりと見遣り、襖へと足を進める。少しだけ開いた隙間は意識しなければ外側からは見えない筈。そんな憶測を盾に耳をそばだてて、外側を覗き込む形で空隙に目を走らせてはふぅん、とつまらなそうな独り言を。何事か逡巡の後改めて彼女を振り返り、片手を襖に掛けたまま瞳の奥に暗い光を宿らせて。彼女が己の袖を掴まないとすれば、そのまま無機質な廊下へと吸い込まれていくことだろう)ちょっと見てくるから。すぐ戻る。
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