グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
通報 |
っ、……では。ごきげんよう。
( まるで生娘のようにびくり、と小さく手を跳ねさせてしまったのに彼女は気付いてしまっただろうか。周りには気づかれていない自信はあるけれど、触れていたか彼女にはバレてしまったかもしれない。こちらを射抜くような赤い光も、手の甲に落ちた柔らかな彼女のキスも、甘ったるい低い声も。なぜだか男を手玉にとるのなら百戦錬磨のアリシアの心をぞわりと掻き乱す其れらに完璧な天使様のお面が少しだけ崩される。─── 嗚呼、なにかしらこれ。厭だわ、ぞわぞわする。だがそれでも瞬時に完璧な笑顔を持ち直せば、「 さぁ、皆さん。お迎えありがとう、帰りましょう。 」と決して大声では無いのによく通る透明な声で下級天使たちに声をかけてふわりと完璧に計算されたようにワンピースを翻し、彼女の体よりも何倍も大きくやわらかそうな白い天使の羽を広げれば天使たちを引き連れて飛び立っていき。……そこからは少しだけ大変だった。様々な天使たちに体調や何事も無かったかを心配され、遂にはもしかしたら悪い病気を貰ってきていたら大変だと見習い天使をひとり蕎麦に付けられて付きっきりで看病される始末。上級天使であるアリシアの傍にいるのが緊張しているのかずっとあわあわとしている見習い天使に「 大丈夫よ、ありがとう。 」とやんわりと下がれと支持すれば、ようやく1人になれた自室で小さくため息を吐いて。バルコニーに止まる小鳥たちが心配そうにチチチ、と小さく鳴き声を漏らしながらこちらをみつめているけれど、どうしても其れに答える気にはなれずアリシアはそのまま長いまつ毛に覆われた瞳を閉じて寝息を立て始め。 )
トピック検索 |