グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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こんにちはぁ。
( あたかも友人の家に遊びに来たかのような緊張感のない挨拶を口にしつつ中に入れば、悪魔たちが何やら様々な器具を持ってそれぞれ仕事に取り掛かっているようで。ワァ、と遊園地に来た子供のように当たりをキョロキョロと忙しなく目で追っていたものの、ふと此方に慌てたように駆けてきた青い瞳の悪魔が何やら彼女へ耳打ちをしまた自身の仕事へ戻っていき。元天使の子だ、仕事熱心で感心だなぁとまるで他人事のようにその背中をぼうっと眺めては彼女の案内に従うように後ろへついて行き。─── 〝3号室〟。そう書かれた扉の向こうには、椅子に縛りつけられて必死にもがいている中年男性が今にも狂ってしまうのではないかというくらいに暴れている。まるで壊れたおもちゃのようだ。腕を組んで壁に寄りかかるだけでも絵になる彼女はどうやら手出しをしないようで、本当に拷問を体験させてくれるらしい。ふむ、とアリシアは少し考え込んだような仕草の後、陽だまりのように優しい笑顔をぱっと浮かべれば「 ごきげんよう。大変怖い思いをしたことでしょう。もう大丈夫ですからね。 」と母親が赤子を寝かしつけるような優しい声色で話しかけて。男はその声にぴたり、と暴れるのをやめては〝助かった〟だとか〝天使様が来てくれた〟だとか、まだ何も言っていないのに自分の都合のいい解釈をしては歓喜の涙を流す。アリシアはそれに何も答えずに静かに笑えば、男の手の拘束をまずは解いて。拘束の解かれた男の手はアリシアに暴力を振るうでもなく、ただただ十字を切ったり此方に祈りを捧げたり、助かったと言わんばりに涙を流している。─── なにかこの人から聞き出すの?殺しちゃだめ?アリシアはそんな彼をマリア様のように優しく抱きしめながら、首だけで彼女の方を振り返れば目線だけでそんなことを問いかけて。 )
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