グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…さァな。オレには良く分からねェや。
(元クソ天使サマの思考なんて解らない、解りたくもない。そんな感情を込めて、彼女は天使への返答代わりにそう呟いた。続けて何かを言いかけたところで、ウェイターが二人の注文した商品をトレイに載せ、姿勢良く運んでくる。彼女は俯き加減に、天使を待つこともなく、さっさと料理に手を付けた。…内装と同じように、料理の味も品質も何一つ変わっていないらしい。相変わらずの味が彼女の口内に広がる。微かに頷いて顔を上げるとかつての同僚─コキュートス勤務時代の同僚と目が合った。その同僚は「…ジャスティス?…ジャスティスじゃない!久しぶり!」と彼女の顔を見るなり子供のように大はしゃぎで彼女の元へ歩み寄ってくる。彼女の目の前にいる天使など見えていないのか、かつて彼女がここで勤務していた時の話や噂話、と取り留めもない話を延々と彼女に聞かせていた。「…あァ、久しぶり…ズドラータ」対する彼女の声にはいつもの覇気がなく、いつも天使にも誰にでも、コートのように纏っている威圧的な雰囲気ではなく、どこか角が取れて丸い、至極穏やかな雰囲気が漂っていた。八割方同僚が話しているが、彼女はそれとなく相槌を打ちつつ、ポツリポツリと彼女からも話している。暫く話し込んだ所でようやく気が済んだのか、同僚は元のテーブルへ戻っていった。彼女はため息を漏らしながら天使に向き直り、いつものどこか威圧的な雰囲気、いつもの覇気がある声で、軽い調子で、「ハッ、悪ィな。お喋りな元同僚に捕まっちまった」と軽く謝罪をしてみせ)
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