グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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チッ、もう壊れやがった。
(彼女は普段、弱いとはいえ人間よりは随分頑丈な『クソ天使サマ』しか拷問していない所為か、弱く脆い人間を拷問する時の力加減はよく解っていないらしい。普段と同じ手順で拷問していると、まだ序盤の段階で早々に中年男は心身共に壊れてしまい、今はか細い呼吸の狭間に、時折不明瞭な言葉じみたものを垂れ流すだけの醜い肉塊と成り果てていた。彼女はまだ嬲り足りないのか、不機嫌そうに地面を蹴りながら、あからさまに苛立っているような表情で仕事部屋を後にし、別の仕事部屋で現在進行系で拷問をしている、青い瞳をした同僚の悪魔の下へ殴り込む。「オイ、人間ってのは全部あんな脆いのかァ?クソ天使サマたちなら1時間もすりゃ治るような傷が治ンのに数日も数十日も掛かンじゃねェか」同僚は何とも言えないような苦笑いを浮かべながら彼女の愚痴を聞いており、まるで弾丸のように矢継ぎ早に飛び出す様々な愚痴の処理に困っているようだ。散々吐き出し終わると彼女はまたけろりとした表情になり、ついでに同僚が痛めつけていた、中年男の取り巻きを何発か殴ってからその部屋を後にする。休憩という名目で自室に戻った彼女は黒革のソファに腰を下ろすなり黙ってサングラスを外し、その下に隠されていた、自身の赤く冴えた瞳を手鏡に映した。他の悪魔共も瞳は赤いが、それより一際赤く冴え、「見ただけで死ぬ」「他人の嘘を見抜く」など根も葉もない噂で気味悪がられてきた、自分の不気味で忌々しい、ピジョンブラッド・ルビーのような光を放つ瞳。"コレ"をあのクソ天使サマは「きれいだ」なんて言った。思わず彼女の唇から哀れむような、弱々しいような笑みが漏れる。クソ天使サマの感覚はやっぱり理解できねェ、と誰に言うでもなく溢した彼女は取り出した煙草に火を点け、小さな赤い光と冴えた赤い光が薄暗い部屋を照らし出し)
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