グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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あら。それはそれはとっても素敵!
きっとイイ声で泣くんでしょうね、うふふ!可愛がってあげてね。
( 地獄は案外速達らしい。マァ確かに、天使に手を挙げて悪魔に殺されたのであれば神の審判を待つまでもなく地獄行きだからだろう。アリシアはぱっと花が咲くように笑えば〝可愛がってあげて〟だなんて、凡そボロ雑巾のように殺された人間に天使がかける言葉ではないような言葉をさらりとなんでもない事のように言ってみせて。路地裏を後にする彼女の背にばいばい、とひらひらと手を振れば、彼女が見えなくなったくらいに指を鳴らして大輪の花をその手に出現させる。それをぱん!と拍手をするように両手で潰せば、その花はまるでブリザードフラワーのようにぱらぱらと粉々になりアリシアはそれをふわりと宙に投げ雨のように頭から被り。すると何故だか彼女を取り巻いていたタバコの煙やらなにやらはまるでその花びらたちに吸収されたかのように消え、暫くすれば花びらたちも雪のように溶けて消えてしまい。アリシアはそれを見て満足気にほほえめば、またいつもの〝天使様〟の顔をして路地裏をあとにして。先程からこちらを伺っていた悪魔たちにてっきり絡まれると思っていたが、いつの間にか彼らは居なくなっている。彼女が連れ帰ったのか、それとも威嚇をしてくれたのか。なんだかんだ言って本当に名は体をあらわすんだな、と思わず込み上げてくる笑いにクッと喉を鳴らしては、美しい翼を広げて自分も天界へと昇る。 遅い帰りだったからか、優しい青色や暖かな緑色の目をした後輩たちが心配そうに出迎えてくれたが、「 平気よ、心配してくれてありがとう。 」なんて優しく微笑んで自分の部屋へとまっすぐ帰る。─── そういえば、堕天して悪魔となったあの後輩は地獄で楽しくやっているのだろうか。そんな疑問がふと頭をよぎったものの、マァ彼女の元ならきっと楽しいわね。と自己解決をしては額に貼られた絆創膏を指先でそっと撫でて。 )
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